2002年度栗木ゼミ研究テーマ      
                             
「メディア規制三法」
(研究目的)
 2002年通常国会において、以前より法案製作過程にあった「個人情報保護法案」、「人権擁護保護法案」、「青少年有害社会環境対策基本法案」のいわゆる「メディア規制三法」が審議されることとなった。これら法案は個人情報の保護、マスメディア報道による人権救済やプライバシー保護を目的としているが、報道機関(日本新聞協会、民放連、ペンクラブ、出版労連、書籍出版協会など)やフリージャーナリストたちからは、これは公権力によるメディアを規制であり、報道(表現・言論)の自由、さらに国民の知る権利を奪い、民主主義を揺るがす法案であると反対の声が上がっている。
 マスメディア側はこれまで事件報道における過剰取材・人権侵害とも取れる行為をたびたび起こしてきたのも事実だが、こういったことに対しマスメディア自身は規制・改善を進めている。
 そこで私たちは―@このメディア規制三法案が成立した場合、市民やマスメディアにどういった影響を与えるかA公権力の介入以外でのマスメディア報道の自主規制策・改善策の効果についてBこれまでのマスメディア報道はどのような利益・不利益を市民にもたらしてきたのか―を調査研究することにより、市民の利益になるマスメディアのあるべき姿を社会に問題提起することができればと思う。

(研究意義)
 「メディア規制三法案(個人情報保護法案・人権擁護法案・青少年有害社会環境対策基本法)」が成立することにより、本来マスメディアが持つ「権力・企業の暴走の監視と市民への情報提供」といった社会的機能が十分に果たせなくなる。一方でマスメディアは事件報道における過剰取材や人権侵害とも思える行為を行ってきたのも事実である。
 メディア規制三法は知る権利の侵害、表現の自由の侵害、マスメディアによる報道被害は、ともに市民の利益となるものではない。我々の立場として、マスメディアによる報道が市民の真の利益となるためには、公権力によるメディア規制は最善策とは決して思わない。マスメディアがマスメディアを改善することこそが必要と思われる。メディア規制三法案を考えるに当たり、現在のマスメディアの持つ問題点と改善すべき点を明らかにすることができるのではないだろうか。

                                文責・木下 健

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Copyright (c) 2002, Prof.Asano Ken'ichi's Seminar Last updated 2002.07.10