フランス氏がNHKを2月5日に提訴
 NHK「やらせ」東京地裁判決は2・26午後2時

浅野健一

 既に本HPではお知らせしたが、NHK「爆弾やらせ漁法」裁判の2月4日の判決が2月26日午後2時に再延期された。東京地裁631号法廷。
 この調子だと、2・26もまた延期になる可能性も十分あるようだ。今後もHPを注意してみてほしい。
判決はもともと昨年11月19日に言い渡されるはずだったが、いったん2月4日に延期され、今回再び延期になった。今回も一週間前のドタキャン。理由は一切明らかにされなかった。
 判決再延期について、法律家、研究者から、きちんと延期の理由を聞くべきではないかという意見がある。2000年9月4日以降、「被告」とされている講談社・「現代」編集長に対して、延期の理由が明らかにされていないのは全く不当なことだという法律家もいる。
 昨年11月19日に延期を知らないで東京地裁に行った人もいる。2月4日に予定を立てていた人も多いと思う。
東京地裁民事第45部の書記官に二月三日聞いたところによると、裁判官は「事案が事案で、複雑困難なので延びた」と述べているという。
 何も複雑なことはないと思う。NHKがD氏に金を払って、爆弾を投げさせたのだから、単純なことだ。
 以下は友人から届いた感想:
《何故そんなに延期ばかりするのでしょう。だったら最初からもっと後の日程を組めばいいものを。しかも延期の理由が明らかにされないなんて・・・。》《NHKやらせ裁判が再延期になったのは気になります。傍聴者の予定のことなど、裁判所は考慮しないのでしょうか。》

*依然、フランス氏を中傷するNHK
 NHKジャカルタ支局代理人のルフット・パンガブリアン弁護士と、フランス氏の代理人ソフィヤン・マルタバヤ、アンディ・M・アスルン両弁護士が一月二八日に会った。パンガブリアン弁護士から1月22日の書簡で要請してきた。
 パンガリブアン弁護士は「NHKは、やらせの事実はなく、フランス氏のでっちあげで、名誉毀損の事実もない、NHKには責任がない、という見解だ」と述べた。そのうえでパンガリブアン弁護士は、「インドネシアの司法の場で、はっきりさせることはいいことだ」と語ったという。パンガブリアン弁護士も、NHKが爆弾を投げさせたことが、インドネシアの法令に違反していることを理解しはじめたようだ。

*フランス氏がNHKを提訴へ
 NHK坂本氏の「やらせ」を告発してきたフランス氏の代理人二人は2月5日午前にジャカルタでNHKを相手取って名毀損訴訟を起こす。また、NHKが損害賠償と謝罪広告掲載に応じない場合、坂本氏が「首謀者」の爆弾投擲行為は、インドネシアの刑法、非常事態法(一九五一年)、環境法(一九八二年)に違反するとして警察刑事告発を行う。違法行為を知った国民の義務としての通報である。NHKがやらせた爆弾事件の時効は18年。坂本氏は最高で拘禁5年の罪を問われる可能性(危険性)がある。
インドネシアの民事裁判と刑事捜査で証拠となるのは、すべてNHKが東京地裁に出したビデオ、文書などだ。
 フランス氏と代理人二人は、2月5日午後1時半から3時まで、ジャカルタ市内のメンテン地区にあるセマラ・ホテル(Hotel Cemara、電話 +62-21-390-8215)で、記者会見を開く。インドネシア関係のジャーナリスト、外交官、研究者に知らせてください。問い合わせは、フランス氏(携帯+62−8561010203)、ソフィアン弁護士・アスルン弁護士(マルタバヤ法律事務所、電話62−21−3928515、7863442、ファクス3928515)へ。アスルン弁護士の携帯は +62−811956163。アスルン弁護士はジャカルタの外国報道機関の支局記者として働いた経験もあり、英語が堪能。ソフィアン、アスルン両弁護士はインドネシア大学法学部教官だ。ソフィアン弁護士はスハルト体制下では教職を剥奪されていた。
 フランス氏と二人の弁護士は、日本で、ジャカルタの裁判を支える会を作ってほしいと言っている。NHKの「やらせ」に興味のある市民、専門家の参加を要請したい。
 前にもお知らせしたが、同志社大学人文学会発行の「評論・社会科学」69号に続編を書いた。抜き刷りもできたので、ご希望の方は郵送先をお知らせください。無料で送ります。

*捏造されたNHK側証人の証言
 私たちのインドネシア取材(1月13〜17日)で、坂本・元NHKジャカルタ支局長「現代」の取材(2000年8月21日)と陳述書で表明した、インドネシア海軍のウトモ大佐の「海軍がやらせをやっていい」という発言と、ムクシン氏が東京地裁で行った「LIPIのスワルソノ博士が、LIPIが頼めば100万ルピアかかると言った」と述べた証言が、いずれも捏造であることが判明した。
 我々はLIPI(政府機関)がサンゴを守るためのキャンペーンでつくったビデオの爆弾漁法のシーンを入手した。この映像を見れば、ムクシン氏が言うことがウソとすぐわかる。
 フランス氏が、なぜ民事提訴、刑事告発に踏み切るのかを英文で書いた。
私はNHK内にあるラジオ・テレビ記者会(14社、約200人)に「評論社会科学」68・69号の抜き刷り、テープ4点セットなど送った。「放送50年」。「やらせ爆弾漁業」について、ぜひ海老沢会長に定例会見で質問してほしい。

*松井やよりさんの本を没に
 2003年 1月21日 発行のメディアの危機を訴える市民ネットワーク┃メ┃キ┃キ┃・┃ネ┃ッ┃ト┃(発行所=メキキ・ネット事務局)で北原恵(メキキ事務局)氏が〔松井やよりさん追悼――最後の授業〕と題して書いたところによると、松井さんは2002年9月5日から3日間、北原氏の勤務する神戸の甲南大学で非常勤講師として授業を担当した。科目は「メディア文化論」、100名余りの学生が聞いていた。
《(集中講義の)休憩時間に、松井さんは原稿の束を教卓に置いて、わたしに見せてくださったことがあった。「私ね、自伝を書いていて、NHKで出版することになってたんだけど、あの裁判のために、出版が没になったのよ。」そう言いながらも、彼女は原稿を完成させるため、寸暇を惜しんで手を加えられているようだった。》(北原氏の了解を得て、引用しました)
 あの裁判とは、女性国際戦犯法廷をめぐるNHKのETV2001をめぐる裁判だ。

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(以上)

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