2003年1月24日


NHK爆弾漁業やらせ撮影事件の続報です。
 ジャカルタからの連絡によると、NHKジャカルタ支局の代理人を務めるルフット・パンガリブアン弁護士から1月22日、元NHKジャカルタ支局記者フランス・パダク・デモン氏の代理人ソフィヤン・マルタバヤ、アンディ・M・アスルン両弁護士に手紙が届いた。
 マルタバヤ、アスルン両弁護士が1月17日に海老沢勝二NHK会長らに送った最後通告の文書(SOMASI)への「返事」で、パンガリブアン弁護士は「この件はいま東京の裁判所で審理されている」などと書いてあった。また、1月28日に両弁護士に会いたいと要請した。
 フランス氏側は「東京ですすめられている裁判は、NHKが講談社を名誉毀損で訴えた民事事件で、ジャカルタでは私たちがNHKを名誉毀損、誹謗中傷で訴え、このことを謝罪しなければ漁民D氏の爆弾投擲に関するNHKの刑事責任をも問うため警察に告発するという方針だ」と表明している。フランス氏が問題にしている名誉毀損・中傷は、NHKと坂本氏が対講談社訴訟で裁判所内外で行った不法行為を指している。
 両代理人は1月28日、パンガリブアン弁護士の面談には応じるという。
 NHKはインドネシア人の弁護士を立てて対応しようとしているが、海老沢会長、坂本・元ジャカルタ支局長、現在の田端祐一ジャカルタ支局長(爆弾事件にかかわった坂本氏の後任で、やらせには全く無関係)あるいは佐藤俊行国際部長(当時クアラルンプール市局長でフランス氏が「やらせ」を最初に伝えた)が代理人2人、フランス氏に会うべきであろう。
 ジャカルタの弁護士たちによると、パンガリブアン弁護士はNHKやらせ爆弾漁法について、同僚の弁護士たちに「ジャーナリストが“やらせ”をやっても問題ない」と言い放っているという。「この程度」なら許されるということだろうか。パンガリブアン弁護士は事態の深刻さが分かっていないと思われる。
両代理人は1月25日に二度目の通告文(SOMASI)をNHKに送る。二度目の通告文から三日以内に再回答を求めていくという。
両代理人とフランス氏は1月30日ごろに提訴、告発と記者会見を予定している。
 NHKと坂本氏が1997年8月24日正午過ぎにインドネシアの大学職員と漁民D氏を使って行った「やらせ」と、月刊「現代」編集部がNHKに「当たり」取材して以降の組織ぐるみの「やらせ」隠蔽について、事実をきちんと調査し、訴権の濫用である東京でノ民事裁判を取り下げ、フランス氏と講談社に対する名誉毀損を謝罪しない限り、ジャカルタでの民事裁判、刑事事件捜査は避けられそうにない。
 NHKのために爆弾を投げさせた大学職員と、「今も爆弾漁を続けている」とNHKに言わされ、そのビデオテープを東京地方裁判所に提出されたD氏の二人を刑事事件被疑者にさせないためにも、坂本氏とNHKは真実を明らかにすべきだと思う。
NHKが2月4日の判決前に提訴を取り下げることを願う。税金、受信料を無駄に使わないためにも、一刻も早く誤りを認めるべきである。
  同志社大学文学社会学科が発行している「評論社会科学」69号に、「研究ノート」にNHKやらせ爆弾漁法裁判報告続編を書きました。1月24日に刊行されます。抜き刷りもできますので、希望の方はメールasanokenichi@nifty.comまたはファクス(fax 04−7134−8555)で連絡ください。


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