オーマイニュース オ代表が同志社大学で講演
韓国オルタナティブ・メディアの現在
世界最大の独立インターネット新聞「オーマイニュース」のオ・ヨンホ代表が九月一五日、同志社大学(京都市上京区)至誠館四番教室で講演した。主催は同志社大学ジャーナリズム研究会(事務局・浅野健一研究室)。オ代表が日本で講演を行うのは今回が二回目で、西日本では始めてで、約六十名の学生、市民らが熱心に聴講した。
◆あらゆる市民は記者だ
韓国のマスコミである月刊「マル(言)」の記者・取材部長などを務めていたオ代表が、オーマイニュースを創設したのは今から約五年前のことだ。それまで保守系が主だった韓国メディア会に新風を吹き込むべく、「あらゆる市民は記者である」をコンセプトにして、二〇〇〇年二月二二日設立した。
「従来の紙新聞は一方向性でした。記者が記事を書き、読者が読む。私はインターネットの特長を活かした新しいメディア=オルタナティブ・メディアの存在を知り、誰もが記事を書き、読むことができるメディアを創ろうと思いました。」
設立当初、市民記者は七二七人だったが、現在は約三万三千人もの人々が活動している。記者は小学生から大学教授、サラリーマン、軍人まで様々だ。それゆえ記事の興味や質も様々だ。中には大手新聞社の記者も投稿している。
「(大手新聞社の記者は)自社で書けないような記事をここで書くのです」とオ代表は言う。
記者は二〇代から四〇代前半の男性が全体の七五%を占めている。原稿料は基本的には一件二千ウォン(約二百円)、最大で二万ウォン(約二千円)と非常に安い。しかしオ代表はこう述べた。
「彼らはお金が目的なのではなく、世の中を変えるために記事を書いているから全く気にしません。」
◆記事の公式を破壊せよ
すべての記事にはその記事に対する意見や反応が書き込めるようになっている。この「双方向性」もオルタナティブ・メディアの一環だ。
オーマイニュースは「市民記者」だけで大きくなったわけではない。プロフェッショナル記者である常勤記者との「融合」によって発展したのだ。
「市民記者の記事は必ずしも正確な情報とは限りません。オーマイニュースではすべての記事に、常時、十名のプロの記者たちがチェックを入れています。一方でチェックを入れていない記事も読むことはできますが、そのような記事には『センナム(未編集)』という注意書きが明記されています。」
このように従来の紙新聞の「常識」を破壊してきたオーマイニュースは韓国の政治も動かしたと言われている。二〇〇〇年の総選挙、二〇〇二年の大統領選挙など大きな政治的懸案を取り上げるたびにオーマイニュースは存在感を強めていった。
「二〇〇二年の大統領選挙の直後、ノ・ムヒョン大統領が国内メディアで最初に単独インタビューに応じてくれました。また今年三月の大統領弾劾反対デモの時、我々は記事のほかにテレビ・写真などを使って随時その様子を伝えました。映像と記事は約四〇万人が見ており、記事に対する意見表明も八万件を超えていました。」
◆「準備された市民」が成功の原動力
韓国メディア、そして政治にまで新風を吹き込み、今や国内主流メディアの一つにまでなったオーマイニュースはなぜ成功したのだろうか。オ代表はこう説明した。
「一つは大衆の伝統メディアに対する不信感です。それがオルタナティブ・メディアを求める原動力となったのです。
二つ目はブロードバンドの普及です。韓国は全世帯の七五%がブロードバンドを利用しています。環境が整っていたからこそ、インターネット新聞のサービスが可能となったのです。
三つ目は韓国という土地の規模です。市民記者制度を行う上でプロの記者が記事の確認をする時、韓国全土を飛び回ることができる適度な広さなのです。
四つ目は、韓国人は一つの出来事に対し異常なまでの反応力があります。これが記事を『読む』だけでなく、『書きたい』という姿勢にさせました。
最後に最も重要な原因は、市民の準備が十分に整っていたことです。『ネチズン』と呼ばれる人たちがいたこと、社会問題に自ら参加しようとする人がいたことが成功の大きな原因だと思います。」
オ代表の言う「準備」とは[政治や社会の問題に関心を持ち、仲間とともに、社会をより良くしようと積極的に動ける準備が整っている]という意味である。最後にオ代表はこう述べた。
「もし日本でオーマイニュースのようなメディアを創りたいのなら、この様な『準備された市民』がまず必要です。」
オ・ヨンホ氏
オーマイニュース代表理事兼代表記者
一九六四年生まれ
一九八八〜一九九九年 月刊「マル(言)」の記者・取材部長を経て二〇〇〇年オーマイニュースを創設
オーマイニュース;www.ohmynews.com
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