【書籍概要】
「犯罪報道」で報道されたら最後、何の罪もないその家族、関係者までが連日の後追い報道で、失業、離散、自殺にまで追い込まれることがある。もし無実だったら……。たとえ犯人でもその家族までを追い込む権利がマスコミにあるのか……。そんな日本の犯罪報道に疑問を抱き、人権と報道の実践国スウェーデンでの事例を学び「匿名報道」を大胆に主張、共鳴の大反響を巻き起こした『犯罪報道の犯罪』。
イラク人質拘束事件報道、文春発禁問題、新宿歌舞伎町ビル火災報道、北陵クリニック事件など最新の「報道加害」の現場を書き下ろしで浅野健一が斬る。
2004/05/20
浅野からみなさんへお知らせ
学陽書房、講談社文庫から発行されていた『犯罪報道の犯罪』が絶版となっていましたが、6月初めに新風舎文庫から新版として出版されることになりました。
【著者プロフィール】
第三文明社)などがある。
単著に『犯罪報道の犯罪』(学陽書房、講談社文庫)、『犯罪報道は変えられる』(日本評論社、『新・犯罪報道の犯罪』と改題して講談社文庫に)、『犯罪報道と警察』(三一新書)、『過激派報道の犯罪』(三一新書)、『客観報道・隠されるニュースソース』(筑摩書房、『マスコミ報道の犯罪』と改題し講談社文庫に)、『出国命令 インドネシア取材1200日』(日本評論社、『日本大使館の犯罪』と改題し講談社文庫)、『日本は世界の敵になる ODAの犯罪』(三一書房)、『メディア・ファシズムの時代』(明石書店)、『「犯罪報道」の再犯 さらば共同通信社』(第三書館)、『オウム「破防法」とマスメディア』(第三書館)、『犯罪報道とメディアの良心 匿名報道と揺れる実名報道』(第三書館)、『天皇の記者たち 大新聞のアジア侵略』(スリーエーネットワーク)、『メディア・リンチ』(潮出版)『脳死移植報道の迷走』(創出版)、『メディア規制に対抗できるぞ!報道評議会』(現代人文社)。 編著に『スパイ防止法がやってきた』(社会評論社)、『天皇とマスコミ報道』(三一新書)、『カンボジア派兵』(労働大学)、『激論・新聞に未来はあるのか ジャーナリストを志望する学生に送る』(現代人文社ブックレット)。共編著に『無責任なマスメディア』(山口正紀氏との共編、現代人文社)。
共著に『ここにも差別が』(解放出版社)、『死刑囚からあなたへ』(インパクト出版会)、『アジアの人びとを知る本1・環境破壊とたたかう人びと』(大月書店)、『派兵読本』(社会評論社)、『成田治安立法・いま憲法が危ない』(社会評論社)、『メディア学の現在』(世界思想社)、『検証・オウム報道』(現代人文社)、『匿名報道』(山口正紀氏との共著、学陽書房)、『激論 世紀末ニッポン』(鈴木邦男氏との共著、三一新書)、『松本サリン事件報道の罪と罰』(河野義行氏との共著、講談社文庫)、『大学とアジア太平洋戦争』(白井厚氏編、日本経済評論社)、『オウム破防法事件の記録』(オウム破防法弁護団編著、社会思想社)、『英雄から爆弾犯にされて』(三一書房)、『ナヌムの家を訪ねて 日本軍慰安婦から学んだ戦争責任』(浅野健一ゼミ編、現代人文社)、『新聞記者をやめたくなったときの本』〈北村肇編、現代人文社)、『奇想の源流 島田荘司対談集』(光文社文庫)、『プライバシーと出版・報道の自由』〈青弓社編集部編、青弓社)、「週刊金曜日」別冊ブックレット『金曜芸能 報道される側の論理』(金曜日)、『検証・「拉致帰国者」マスコミ報道』(人権と報道・連絡会編、社会評論社)、『抗う勇気 ノーム・チョムスキー+浅野健一 対談』(現代人文社)、ブックレット『辻元!』(夏目書房)などがある。『現代用語の基礎知識』(自由国民社、1998〜2003年版)の「ジャーナリズム」を執筆。
監修ビデオに『ドキュメント 人権と報道の旅』(製作・オーパス、発行・現代人文社)がある。
資格 1968年、運輸相より通訳案内業(英語)免許取得
浅野ゼミのホームページ index.html
人権と報道・連絡会 ホームページ http://www.jca.ax.apc.org/~jimporen/welcome.html
1948年香川県高松市生まれ。
慶応義塾大学経済学部卒業後共同通信社入社。本社社会部、ジャカルタ支局長などを経て同志社大学文学部社会学科教授。「人権と報道・連絡会」(連絡先:〒168−8691 東京杉並南郵便局私書箱23号、fax03‐33419−9515)世話人。日本マス・コミュニケ−ション学会、日本平和学会会員。主著に『新・犯罪報道の犯罪』(講談社文庫)、『過激派報道の犯罪』(三一新書)、『マスコミ報道の犯罪』(講談社文庫)、『日本大使館の犯罪』(講談社文庫)、共著に『匿名報道』(山口正紀氏との共著、学陽書房)、『松本サリン事件報道の罪と罰』(河野義行氏との共著、第三文明社)などがある。
株式会社新風舎の概要
新風舎は、出版を自由なコミュニケーションの場と考え、「表現したい」と強く思う人々の“創り手主義”に立った、出版活動を25年にわたって行なっています。“表現者”に最良の出版環境を提供することにおいて、常にパイオニアでありつづけることをモットーに考え出版事業を展開しています。
作品のオリジナリティーを尊重しながら、“商品”としての品質を高めるために、編集・デザイン・販売・宣伝を当社出版プロデューサーが一貫してサポートし、読者までの架け橋となる「共同出版」システムをはじめ、その人に会った方法で出版を実現しています。
社 名 株式会社新風舎
代表取締役社長 松崎義行
創 業 1980年7月
設 立 1994年4月
資 本 金 2,000万円
所 在 地 本社 東京都港区青山2-22-17
大阪支社 大阪市北区堂島2-4-27 新藤田ビルB1F
主 な 業 務 出版および出版プロデュース
沿 革 1980年 代表取締役社長 松崎義行が16歳で創業
1994年 株式会社新風舎として会社発足
2000年 本社を東京青山に移転
2003年 新風舎大阪 拡張移転オープン 新風舎文庫創刊
2004年 ニューヨーク・福岡支店設立
この件に関するお問い合わせ先
■株式会社新風舎/広報室 担当:大矢/鈴木
〒107-0061 東京都港区北青山3-2-2 AYビル8F
TEL.03-5775-5359 FAX.5414-3494 e-mail:info@pub.co.jp
薫風の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
昨年11月の新創刊以来、毎月ラインナップの充実を図ってまいりました新風舎文庫でございますが、この6月の新刊といたしまして『新版 犯罪報道の犯罪』を刊行いたします。おかげさまで、各書店様、マスコミからも大きな反響をいただいております。
『犯罪報道の犯罪』は1984年に学陽書房で刊行され累計15万部、1987年には講談社文庫より刊行され13刷りという大反響をいただきました。今回、ここに120頁の書き下ろし、大幅修正を加え、新たに『新版』として蘇りました。新刊と変わらないほどのボリュームを持った作品を、この機会により広くアピールしたいと考えております。
つきましては何らかの形でご紹介いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
文春発禁問題、イラク人質拘束事件、など最新の「報道加害」の事例を書き下ろし!
書き下ろし総ページ数実に“約120頁”。「匿名報道」を大胆に主張して共鳴の大反響を巻き起こした『犯罪報道の犯罪』が“新版”として蘇る!
【主な内容】
第一章 今なお続く「犯罪報道の犯罪」 最新書き下ろし
第二章 犯罪報道は私刑だ 最新書き下ろし収録(「第二次小野悦男さん報道」)
第三章 犯罪報道を考える
第四章 スカンジナビアに学ぶ
第五章 人権を守る報道を目指して 最新書き下ろし収録
(「新版追記 世界に定着するメディア責任制度」)
解説 山口正紀(「人権と報道・連絡会」世話人、ジャーナリスト)
この本の校了前に、少年の実名掲載をめぐる裁判の判決がありました。
愛知、岐阜、大阪3府県で94年9〜10月、男性4人が犠牲になった連続リンチ殺人事件で、強盗殺人罪などに問われた当時18歳の男性原告(28)=名古屋高裁で公判中=が、「週刊文春」の記事で名誉を傷つけられ、プライバシーを侵害されたとして、発行元の文芸春秋に100万円の損害賠償を求めた訴訟の差し戻し審判決が5月12日、名古屋高裁でありました。熊田士朗裁判長は男性側の請求を棄却しました。
この高裁判決は全く不当です。メディアの現場を全く知らない、実名報道主義に疑問を全然持たない裁判官の判断です。被疑者・被告人の無罪推定の原則を無視し、メディアの社会的制裁機能を当然視する危険な判決です。こんな判決が確定してはいけません。
毎日新聞中部本社の加藤記者から談話取材がありました。私のコメントは中部本社以外では載りませんでしたので、以下に引用します。
記事の見出しは
《週刊文春・少年仮名報道訴訟 名高裁判決、「知る権利」を重視》(2004.05.13)で、22頁の第二社会面に載りました。
[◇低年齢化背景に、「意義」認め
愛知など3府県で94年に起きた連続リンチ殺人事件をめぐり、事件当時少年だった男性被告(28)に関する報道のあり方が争われた訴訟の差し戻し審で、名古屋高裁は12日、国民の関心の高まりを理由に、プライバシー保護より報道の公益性を優先させる判断を示した。重大事件では少年法が禁じる「本人を推測可能な記述」を除き、少年ということだけでプライバシーに関する報道を制限するものではない、との姿勢だ。
判決は、少年犯罪が凶悪化、低年齢化している社会状況を前提に「犯罪行為や少年の経歴の報道には社会的意義がある」と認定。「記事が更生の妨げになるとしても、公表の必要性が認められる」と結論付け、「国民の知る権利」を重視した。
男性側は記事で周囲の人にプライバシーを知られて大きな被害を受けたとして、少年として手厚く保障されるべき「成長発達権」の侵害を主張したが、判決は退けた。
記事は、事件で長男(当時19歳)を殺害された江崎恭平さん(59)の傍聴記録やインタビューがもとになっていた。江崎さんは「妥当だが、もっと早く示されてもよかった。裁判所の考えがようやく世間並みに追いついた」と評価、「少年法で加害者を包み隠すのではなく、事件の事実を明らかにすることが必要」と訴えた。
判決について田島泰彦・上智大教授(メディア法)は「報道の公共性を評価し、少年事件の報道の自由を広い範囲で認めた妥当な判決だ。プライバシー公表の是非も丁寧に検討している」と評価した。一方、浅野健一・同志社大教授(ジャーナリズム論)は「無罪が推定される被告のプライバシーや少年法の精神を裁判官が理解していない。『凶悪事件を起こした人は少年でも何を書かれても仕方がない』と言わんばかりのひどい判決だ」と批判。識者の見解は分かれている。【加藤潔】]
確かに、田島教授の見解は私と違います。彼は、メディアが勝つと判決をほめ、メディアが負けると判決を非難するのが常です。
新風舎文庫最新刊(6月5日発売)早くも書店注文殺到!