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2006年12月28日 |
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06年11月30日(木)午前10時45分から12時15分までの「新聞学原論U」(浅野健一担当)のゲストに、北海道警の組織的な裏金作りを内部告発し、その後も「明るい警察を実現する全国ネットワーク」を設立して活躍中の元道警釧路方面本部長・原田宏二さんと、1973年から偽領収書作成を拒否し、「地獄の報復人事」に耐え抜いた正義の警察官、愛媛県警巡査部長の仙波敏郎さんの二人が特別講義を行った。教室は今出川校地新町学舎臨光館208番教室。
原田さんは「警察神話は崩壊したか」、仙波さんは「なぜ裏金を告発したか」と題して話した。朝日新聞記者が取材に来て、12月1日の京都版に記事が出た。
また、公開シンポジウム「警察裏金事件とマスメディア」が12月1日(金)午後6時半から9時半まで、同志社大学今出川校地・新町学舎臨光館201番教室で開かれた。同志社大学社会学会と社会学部メディア学科との共催。
警察の裏金を調査報道し新聞協会賞を受賞した北海道新聞の佐藤一(はしめ)記者(現在、東京支社社会部)が基調講演。第二部で、高知新聞編集局次長の中平雅彦氏、原田宏二・元道警釧路方面本部長、仙波敏郎仙・愛媛県警巡査部長がパネリストになって討論した。
オーマイニュース日本版にシンポに関する詳しい記事が2本アップされている。
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003638
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000003629
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「警察 裏金とメディア」シンポジウム報告
1回生 鍜治由佳(シンポでの討論コーディネーター) |
警察の捜査費不正問題と、メディアの今後の在り方を考えるシンポジウム「警察裏金事件とメディア」が12月1日夜、京都市の同志社大学で開かれ、現職、元職の警察官や地元新聞の記者らが意見交換し、参加者に裏金問題の深刻さを訴え、市民、学生が関心を持つように呼びかけた。
このシンポジは同志社社会学会と社会学部メディア学科の共催で行われ、学生など約80人が参加した。
まず、北海道新聞社の佐藤一記者が基調講演を行った。佐藤記者は北海道新聞社で道警の捜査費不正問題を調査報道していた取材班のキャップ。その経験をもとに報道過程や、ジャーナリズムの在り方について語った。「メディアが権力に寄り掛かっていると、市民中心の報道から遠ざかってしまう。警察権力からの圧力は大変なものであるが、忍耐力と労力をもってそれに対応する必要がある」と訴えた。また、「発表だけでない、長い時間をかけた調査報道が重要である」と語った。
その後のパネルディスカッションでは高知新聞社の中平正彦編集局次長、道警の内情を告発した元北海道県警の原田宏二さん、現職で初めて県警の裏金問題を告発した仙波敏郎巡査部長らが加わり、裏金問題や警察内部の実情、今後のメディアについて討議した。
佐藤記者は「スクープのほとんどは発表ものを事前に書いているものばかりで、埋もれている事実を発掘するものは皆無に等しい」「記事に関する評価の基準を変えるべきだ」などと、メディアの問題を述べた。中平さんは「個別の問題として捜査費不正問題に幕引きをしようとしている。それを止めるためには全国紙が総力を上げることが必要だ」と指摘した。裏金問題について、原田さんは「風化してしまっていることが問題だ。警察は正義の味方ではないという認識を持ち、国民が関心をもつことが重要である。」と語った。
最後に「日本は民主主義の国だから、それぞれが訴えればなにか変わる。あと2年4ヵ月で私は定年退職になる。その期間、私は訴え続けます」と言った仙波さんの言葉が響いた。
裏金問題について重要な人物が集まったこのシンポジウムでは、大きな前進があったということができるだろう。今後も裏金問題について関心をもち、警察を監視する姿勢をもちたいと思う。(了)
佐藤一さん©浅野ゼミ
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©浅野ゼミ 左から、原田さん・仙波さん・中平さん(詳細はページの末尾を参照) |
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取材にも来ない大手メディア
浅野健一 |
同志社大学企画部広報課は06年11月28日、報道機関にプレスリリースを送った。
<同志社大学 社会学会 ゲスト講義&シンポジウム「警察裏金事件とメディア」>と題したお知らせで、次のように取材を要請した。
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同志社大学社会学会では、社会学部メディア学科との共催で、12月1日(金)に公開シンポジウム「警察裏金事件とメディア」を開きます。また、これに先立ち11月30日(木)には、シンポジウム参加のゲストによる講義も開催します。
つきましては、一般参加も歓迎いたしますので、取材・掲載記事など格別のご配慮を賜りますようお願い申し上げます。
ゲスト講義&シンポジウム「警察裏金事件とメディア」のポスターは、下記URLでご覧いただけます。
■同志社大学HP
http://www.doshisha.ac.jp/news_contents/attached/1201simpo.pdf
■浅野ゼミHP
FEATURES/2006/police-uragane.html
また、原田さんらへの個別取材もアレンジすると伝えた。
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「ゲスト講義」につきましては、下記の担当者までお問い合わせください。
(パネリストへの取材、インタビューも可能な限り取り次ぎます。)]と書いて、「浅野健一(社会学部メディア学科教授)」の携帯電話などを明記した。
プレスリリースには「講演者・パネリスト略歴」も詳しく載り、問い合わせ先として
同志社大学企画部企画室広報課 TEL:075-251-3120 FAX:075-251-3080
〒602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入 e-mail: ji-koho@mail.doshisha.ac.jp
このシンポの紹介は大学のホームページにもアップされ、浅野ゼミのHPにも詳しく載せていた。
しかし、同志社社会学会と社会学部メディア学科の共催で行われたこのシンポを取材に来たのは京都新聞、愛媛新聞、高知新聞、オーマイニュース日本版だけだった。同志社大学社会学会の代表としてシンポの最初と最後に話をした私のことを実名で報じたのは愛媛新聞だけでした。
高知新聞の記事は、パネリストの中平さんが自ら書いた短いもので、私のことにふれないのは当然だろうが、長い記事にした京都新聞、オーマイニュース日本版に主催者のコメントがないのは不思議だ。
京都新聞のカメラパーソンは写真撮影の許可を求めて私に名刺をくれたが、ペン記者から挨拶も何もなかった。編集幹部から浅野との接触禁止令でも出ているのかと思う。長めの記事を書いてくれたが、主催者への取材がないのは奇妙だ。
東京から出張してきたオーマイニュース日本版のV記者は、シンポの終了後、私のコメントを求めてきた。「なぜ今の時期に大学でこういう企画をしたのか」などと聞いてきた。
シンポを報道した記事
N記者は懇親会にも参加した。V記者はシンポの内容を詳しく伝えたが、私の名前はどこにもなかった。オーマイニュース日本版にも「浅野は使うな」という決まりでもあるのだろうか。
V記者は12月26日私の電話取材に「浅野教授に取材したのは、主催団体である社会学会の一員として話を聞いたのであり、名前は必要ないと判断しただけだ」と表明した。「私の個人名は不要としても、なぜ主催者がこの時期に4人を招いて集会を開いたかについてなぜ書かないのか」と聞くと、「そういう判断をしたということだ」と答えた。「普通の新聞社の記者なら主催者のコメントを入れただろう」とV記者は付け加えた。ネットジャーナリズムのよさは、字数の制限があまりないことだろう。なぜ同志社大学のメディア学科でこのシンポが開催されたかのWHYを書くのは当然だろうと思う。
犯罪報道を実名報道で行い、皇室に敬語を乱発するオーマイニュース日本版。同紙の編集幹部は「朝日がそうしているからだ」と私に言い放った。朝日新聞京都総局とオーマイニュース日本版中枢は同じ体質なのであろう。自分にとって都合の悪い「実名」は抹殺するのだ。英語ではこれをblack
outと呼ぶ。
「自己検閲ではないか」と最後にV記者に聞いたら、「それはない」と回答した。本当にそうなのだろうか。
朝日が11月30日の原論のゲスト講義を伝える記事に、私の名前を入れないのも不思議だ。記者は私の名前を入れて、なぜ原田、仙波両氏をゲストに呼んだかも書いたと思う。翌日のシンポの紹介もしたはずだ。おそらく、デスクに削られたのだろう。「実名主義」はここでは簡単に破られる。
京都のある市民は12月1日の朝日の京都版に原田、仙波両氏の講演会が前日あったという記事を読んで、「今夜のはずなのになぜだろう。今夜の講演会はあるのか」と電話で私に聞いた。「浅野さんからのメールには12月1日の金曜日夜にシンポがあると書いてあったのに、昨日同志社大学でもうあったと書いているので、朝日の京都支局に電話で聞いたら、分からないということだった」。朝日はシンポのことは書かず、シンポの取材にも来なかった。
日本新聞協会編集委員会(代表幹事=白石興二郎・読売新聞東京本社取締役編集局長)は昨年十二月七日、「実名はメディアにとってすべての始まりで原点」と規定した冊子『実名と報道』(一部百五十円)を刊行した。
新聞各紙は翌日の朝刊で《匿名発表の流れに警鐘》(『朝日』)《冊子「実名と報道」刊行》(毎日)《「実名 メディアの原点」 知る権利に奉仕》(『産経』)《協会、「実名発表は原点」、意義まとめた冊子刊行》(『日経』)などという見出しで大々的に宣伝。地方紙も『共同通信』配信の《「実名はメディアの原点」 新聞協会が冊子刊行》という記事を一斉に載せた。愛媛新聞は《「実名発表 報道の原点」 日本新聞協会が冊子刊行》4段記事を掲載した。
『読売』は「実名と報道」の要旨を四一二七字も使って伝えた。《実名こそ事実の核/社会悪の追及、公権力のチェックに不可欠です》の大見出しが付いている。
同要旨によると、冊子は「個人情報保護法の施行や人権、プライバシーに対する意識の高まりから、警察や官公庁が実名で発表していたものを匿名で発表する傾向が強まっている」ことへの危機感から、「過剰な匿名化の動きにどう対処していくかの指針」をまとめたのだという。
冊子は、民主主義社会における国民の「知る権利」がまっとうされるために、実名は欠かせないと表明し、《社会悪の追及、公権力のチェックも実名があることが前提となる。匿名では当事者に反省を迫れない。実名があって初めて、犯罪や腐敗の浄化が可能になる》と断言している。
日本新聞協会がいま、警察などの権力を監視するためには、一部のブロック・地方紙しか取り組んでいない警察の犯罪を調査報道することです。貴協会は加盟報道機関に警察の裏金問題を取り上げるよう働きかけるべきではないでしょうか。そのための冊子をつくってほしい。
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「警察裏金とメディア」ゲスト講義・シンポの感想と講師からの連絡 |
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以下は浅野にメールで届いた受講学生からの感想文です。
・ 新聞学原論受講生、Aさん
先日は本当に素晴らしい講演をありがとうございました。普段私の生活している中では触れることのない講演の内容だったので、かなりの驚きとショックを受けた時間でした。警察の裏金問題の実態から、メディアと警察の絡みや、本物の正義とは一体何なのかなど、とても貴重なお話を聞かせていただいた気がします。
みんなの税金が警察管理職の人々の自由の元に使われているなんてすごく腹が立ちました。捜査するのに600万円あったら管理職の人にだいたいとられて、200万円ぐらいしか使用されていないという事実にもビックリしました。それから、そんなことをしていてよく正義という立場にいられるな、と呆れました。そのときもらったお金をどういうつもりで何に使っているんだろう・・・なんでそんなことするんだろう。分からない。警察ってなんなんだろう。今の社会、何を信じていいのか分からないですよね。今日も新聞で、名古屋の刑務所での放水死事件を読みましたが、なんだか人間の社会っておかしいですよね。変な事件ばっかり・・・
話はずれちゃいましたが、きっとこのように、仙波さんや原田さんがさまざまなところで実態を伝えていき、またそれを聞いた私たちも真実を知ることにより、明るい警察になり、検挙率60パーセントの日本になるんだと思いました。
私も、先日の講演会のあとに、友達に翌日の講演会に行くよう薦めたり、警察官の友達たちにも講演の内容をメールしました。これからもがんばってください!!私もアナウンサーになって真実を伝えて、日本の社会を変えていきたいです。誰がなんて言おうと、善を貫きたいと思っています。原田さんも仙波さんもとても尊敬できる警察官さんでした。お会いできて光栄です。また機会があればお話聞きたいと思いました。
・受講生(市民・聴講生)のBさん
報道では触れており 実際にお話を伺っても 仙波さんのご苦労などというものは到底察しきれるものではなく その信念 胆力にはただただ頭をたれるのみ・・・です。
34年 戦い続けられるものではないですよね・・・。
25万人警察官がいてもニセ領収書へのサインを拒否し続けてきたのは彼ただ一人という現実・・・。
退職なさった方とは言え 原田さんが告発なさったからこそこの問題が大きく取り上げられるようになったのでしょう。お二人それぞれ 安泰を投げうっての闘い 崇高だとさえ感じます。
何もしないことは 共犯者になることだということを私も肝に銘じて生きていきたい(そう長くはなさそうですが)と思います。
ありがとうございました。
・ 社会学部メディア学科 2回生 Cさん
ほとんどの人がそうであったように、僕も今回警察裏金の実態に初めて触れた。偽領収書作成、空出張、捜査費の半分が上層部にキャッシュバック。全体の90パーセントが裏金とまで言われると、呆れてものも言えなくなってしまった。
例えば、全国の警官がいっせいに告発したとしても、250万人の警官全員が一気にクビになることはまず考えられない。素人目には、仙波さんが呼びかけて現場で偽領収書を書かされている人達が団結すれば解決できそうなもののように見えてしまうが、それが実現しないと言うことはいくら現場の警官は正義感にあふれているとはいえ、その中にもにもいずれ出世して自分の裏金で私服を肥やそうというような人物も確実に存在しているのだろう。実際この問題に関して市民はなんの知識も持たないし、警察権力が全力を持って隠し通そうとすれば、佐藤さんらが道新の取材班が潰されたようにそれは簡単に実現してしまう。報道しようとしても潰される。現職が告発しても状況は完璧には改善されていない。突発的な問題解決は期待できない以上、皆さんが話していたとおり諦めることなく市民も一体となって戦い続けることしかない。仙波さんらにとって「闘う」とは、伝えることであって、僕ら市民にとってそれは知ることだと思う。そこから先何をすればいいのかよくわからない。考えていかなければならない部分だと思う。
警察に限らず、税金を資金源として活動している役所にはほぼ確実にこのような裏金問題が隠されているような気がしてならない。もっとクリーンな世の中へ転換するために、マスコミの正常な働きに期待しながら、自分自身には何が出来るのか模索したいと思った。
・佐藤一さんから12月3日に浅野宛に来たメール
この度の講演会に呼んでいただきありがとうございました。つたない講演でしたが、少しでも学生さんの今後にお役に立てればと話したつもりです。学生さんの反応はどうだったでしょうか。
まだ戦いは続きますが、一ジャーナリストの矜持を忘れず、続けられる限り記者生活を送る考えです。どうぞご支援、ご協力お願いします。
・原田宏二さんから12月6日に来たメール
先日は、ありがとうございました。
あわただしい2日間でしたが、久しぶりに若い人たちと話ができました。将来、浅野さんの教えを受けた学生さんたちが、日本のメディアの将来を変えていくのでしょうね。そう思い希望の湧く2日間でした。
あのあと、奈良まで足を伸ばし札幌へ帰りましたら、一面の銀世界でした。これから六ヵ月は雪のなかでの生活ですが、それだけに春の喜びもあります。
冬が終われば、春がある。メディアの世界もそうあってほしいものです。
取り急ぎ、お礼まで。
12月25日に届いたメール
本日、受講生の感想文などただきました。学生の方も警察の裏金問題は驚いたようですね。ただ、全国で起きていたこの問題が若い人が知らなかったというのは、ショックですね。どうしてなのでしょうか。メデイアの怠慢というだけなのでしょうか。
中平さんからは「若い人たちに会えてよかった。参加していただいた学生の皆さんによろしくお伝えください」とのメールがあった。
仙波さんは「みなさんは非常に真面目なので、世の中の裏側をよく知らないようだった。でも、私の話を真剣に聞いてくれたのはうれしい。若い人たちに頑張って社会をいい方向に変えてもらいたい。今の上層部の人たちは駄目だ。シンポに来なかった無関心な学生たちが心配だ。報道の力が弱い。御用記者ばかりだから役に立たないのが残念だ。浅野ゼミの学生のみなさんの行動力と活気に刺激を受けた。私は、めげずに命のあるかぎり信じることを主張して闘っていくので、また皆さんに会いたい」と語った。
仙波さんは07年1月19日午後6時から、松山市のJA会館で裏金告発記者会見から二周年を記念する集会を開く。記念講演は元レバノン公使の天木直人さん。また、1月20日午後1時30分から大阪・阿倍野区民センターで講演する。
このほか、手書きの感想文が数通ある。コピーしてパネリスト4人にお送りした。
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 ©浅野ゼミ |
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【講演者・パネリスト略歴】
<佐藤一さん略歴 >
1963年福島県生まれ。立命館大学文学部(日本史専攻)卒業後、官庁系シンクタンク、経済誌記者、フリーライターを経て、1993年北海道新聞入社。内勤、釧路支社勤務後、本社社会部(現報道本部)に異動。道庁、札幌市内署回りを経て、道警本部キャップ。その後道教委担当を経て道警担当。このポジションの際、道警裏金問題についてキャンペーン報道行い、現場責任者だった取材班(デスクは高田昌幸・現ロンドン特派員)として日本新聞協会賞、菊池寛賞などを受賞。2005年7月から東京支社社会部で厚生労働省を担当している。43歳。
<中平雅彦さん略歴>
1954年高知県生まれ。80年に高知新聞社入社。政治部などを経て、02年4月から3年間、社会部長。05年4月から現職。高知新聞編集局次長兼報道センター長。高知新聞が高知県警の捜査費報道を始めた03年の捜査費不正報道時の社会部長で、北海道新聞の佐藤氏らと連携し、キャンペーンを張ってきた。道警OBの原田氏とも面識がある。10月末に札幌で道新を取り巻く状況を考えるシンポがあり、参加した。道新と道警の問題ではなく、メディアと警察権力の問題ととらえている。
<原田宏二さん略歴>
1937年生まれ。57年北海道警察に採用され、旭川中央署長・道警本部防犯部長などを歴任。kk04年2月、道警の裏金問題について、元道警最高幹部として「告発」記者会見。05年、その後の裏金問題追及の経過や現場の警察官の苦悩も描いた『警察内部告発者』(講談社)を出版、全国に大きな反響を呼んだ。さらに今年8月には、続編として愛媛、長崎、高知で警察の裏金作りに抵抗する警察官たちの闘いを記録した『警察VS警察官』(講談社)を出版したばかり。この本の中で、仙波さんのことを詳しく書いている。『明るい警察を実現する全国ネットワーク』設立。警察の民衆化に向けて活動中。
<仙波敏郎さん略歴>
1949年愛媛県生まれ。愛媛県警生活安全部地域課鉄道警察隊分隊長。57歳。1973年、その年の最年少者として24歳で巡査部長の昇任試験に合格。直後に配属された三島署で初めて上司からニセ領収書を書くことを要求されたが拒否。それ以降に配属された警察署でもことごとく拒否し続けたために30年以上も巡査部長より上に昇任することができなかった。2005年1月20日、現職警察官として初めて実名で警察の裏金問題を内部告発する記者会見を行った。会見から4日後、地域課通信司令室への配置転換を内示、27日付で異動。仙波氏は愛媛県人事委員会へ配置転換の取り消しを求める申し立てを行った。同委員会は6月7日「鉄道警察隊から通信司令室への配置転換は人事権の濫用に当たり、これを取り消す」という裁決を下した。
(以上) |
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