Asano Seminar:Doshisha University
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DECENCY14号完成
14期生からのお知らせ

浅野ゼミ14期生共同研究「DECENCY」14号の大きなイメージを見る 今年も浅野ゼミ14期生(09年3月卒業)の共同研究の成果として「DECENCY」14号(326頁)が完成しました。
 14期生の共同研究テーマは「言論の自由とメディア規制」でした。2009年5月21日に裁判員制度が開始するにあたって、日本のマスメディア界には「メディア責任制度」の設立が不可欠と考え、現在のマスメディアによる犯罪報道の在り方をどう変革すべきかを研究しました。
 今後のマスメディアのあり方はどうあるべきか、そして、私たち一人ひとりが「言論の自由」をどのように守るのか。現状分析、理想の形、歴史的背景、憲法との関連、連続インタビュー、討論などさまざまな観点・方法から研究しました。
 巻頭インタビューは「平木正洋・最高裁判所事務総局刑事局総括参事官に聞く“裁判員制度とメディア”」です。平木氏は2007年9月27日に行われたマスコミ倫理懇談会にて、「現状の犯罪報道は裁判員に予断を与える」と指摘。平木氏は、警察・検察情報に依存した公判前報道が被疑者を犯人視していると指摘した上で、改善すべき点として具体的に6項目を挙げ、報道各社に向けて問題提起されました。これは後に「平木6提言」と呼ばれ、新聞協会の報道指針、報道機関各社のガイドライン作りにも大きな影響を与えています。
 今回、私たち浅野ゼミは平木氏にインタビューをお願いし、提言の真意を含め、裁判員制度下におけるメディア報道のあり方をお聞きしました。最高裁で裁判員制度の設計・広報を担当する平木氏と、14期生が「公正な裁判を実現するために犯罪報道を変えたい」という思いで一致して、4時間にわたって討論しました。この出会いは、今後の犯罪報道を考えていくうえで大きな意味を持つと自負しています。ぜひ報道関係者の方々にも読んでいただき、現状の犯罪報道のあり方を問い直す契機としていただきたいと思います。今まで目をそむけてきた現実に対峙しなければならない時が来ています。
 まもなく裁判員制度が開始します。しかしながら、“凶”乱的な取材・報道(メディア・フレンジング)による被害、番組内容捏造、名誉毀損など、マスメディアには、多くの問題があります。国家権力は、マスメディアの人権を無視した犯人視報道が裁判員に悪影響を及ぼすとし、メディアに対する法的規制をしようとしています。確かにマスメディアが自ら変わらなくてはならない現状があります。しかし、民主主義社会の前進のために「表現の自由」「知る権利」「報道の自由」を担っているマスメディアが国家権力によって規制されて良いのでしょうか。「表現の自由」や「知る権利」「報道の自由」は人権であり、権力からの自由として規制されてはならないはずなのです。 そこで、私たち14期生はマスメディアに「メディア責任制度」の設立が不可欠だと考えました。「メディア責任制度」により、報道被害を受けた人の救済を行い、自主的に市民の人権に配慮した取材・報道を実現し、法規制から「表現の自由」を守ることができるのではないかと思ったからです。
 本研究では、『新聞報道[検証]SERIES新聞人の良心宣言』をたたき台に「日本版メディア責任制度、浅野ゼミ試案」を発表しています。この試案の中に含まれている『新聞人の良心宣言(ゼミ改訂版)』には、私たちがマスメディアに求めるすべてを凝縮しました。また、日本報道評議会を設立する際に、こういう顔ぶれをメンバーに選任してはどうかという提案も行い、その方々にインタビューも行いました。
 報道関係者が高い職業倫理を持ち、日々迷いながら報道について考えることでしかマスメディアの抱える問題を解決することはできないと思います。私たちは多くの新聞人が、思考停止状態から脱却することを強く願っています。
 また、新聞労連委員長当時、『新聞人の良心宣言』を発表された北村肇さんを招いたゼミの夏合宿、立教大学社会学部・服部孝章ゼミとの討論会(教育GP)、さまざまな知識人へのインタビューなども盛り込まれています。浅野ゼミ各学年研究報告「裁判員制度と事件報道」(3回生)、「裁判員制度導入に向けて」(2回生)、「沖縄返還密約とマスメディア報道」(1回生)も掲載しています。各学年主催の公開シンポジウム「志布志事件とメディア―なぜ『架空の事件』を見抜けなかったのか―」「警察の裏金とマスメディア」「西山太吉さんを迎えてのシンポ“沖縄返還密約とメディア”」の記録も含まれており、大変充実した内容となっております。

   また、恒例の浅野教授の「回顧2008」、「浅野教授の文春裁判を支援する会」報告もあります。(文春裁判の大阪高裁控訴審判決は5月15日午後1時15分から大阪高裁別館7階の72号法廷で言い渡されます。同日午後6時から京都弁護士会館3階の第3会議室で高裁判決報告集会行われます。詳しくは支援会ホームページhttp://www.support-asano.net/をご覧ください)

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ご購入希望の方は、お名前、郵便番号(7ケタ)、住所、電話番号、冊数を下記のいずれかの連絡方法でお申し込み下さい。

 ・E-mail  ・郵便(書簡)での申し込み  ・FAX

  〒602-8580
  京都市上京区今出川通烏丸東入同志社大学社会学部メディア学科 浅野健一研究室

浅野健一研究室の所在地と連絡先:
  〒602-0047 京都市上京区新町通今出川上ル 同志社大学渓水館401号室
  TEL:(075)251-3457 / FAX:(075)251-3066(共用) / E-mail:asanokenichi@nifty.com 

『DECENCY Vol.14』(B5版)
  費用:一冊1000円(実費、郵送料込み)  
  2冊以上のご購入による郵送料に関しては個別に連絡させていただきます。

お支払い方法
 
  ・銀行振替
   みずほ銀行出町支店(店番号587)   口座番号 1782167
       メディア学科専攻浅野ゼミ 代表・浅野健一
  ・現金書留(手数料は自己負担でお願いいたします)
  ・切手(1000円分)



『DECENCY Vol.14』の目次は以下のとおりです。

巻頭特別インタビュー
平木正洋・最高裁判所事務総局刑事局総括参事官に聞く“裁判員制度とメディア”
  *資料:①毎日新聞、②文藝春秋

第Ⅰ部 第14期生共同研究「言論の自由とメディア規制」
 研究の目的及び意義
 第1章 メディアが引き起こす諸問
  第1節 事件報道における人権侵害
  第2節 関西テレビ「発掘!!あるある大事典Ⅱ」番組内容捏造問題
  第3節 メディアの与える悪影響
 第2章 押し寄せる法規制の波と守るべき“言論の自由”
  第1節 メディアに対する法規制
  第2節 守るべき“言論の自由”とは
  第3節 BPOと新聞各社の自主規制対応について
  第4節 業界横断的な制度の必要性
 第3章 日本版メディア責任制度、浅野ゼミ試案
  第1節 序文
  第2節 日本版メディア責任制度試案
   第1項 日本報道評議会(浅野ゼミ試案)
   第2項 新聞人の良心宣言(改訂版)
  *資料:各評議員の推薦理由
 第4章 評議員候補インタビュー
  雨宮処凜さんインタビュー「権力に封じられる言論の自由」   浅野健一さんインタビュー「犯罪報道の犯罪~報道評議会設立に向けて~」
  服部孝章さんインタビュー「メディアの短絡性~他律的な自主規制~」
  広河隆一さんインタビュー「メディアの問題とジャーナリズムの問題は別にある」
  北村肇さんインタビュー「ジャーナリズムは“命”を守るためにある」
  本橋春紀さんインタビュー「より市民的な自主規制機関を」
  野田正彰さんインタビュー「予測と批判の重要性 」
  野中章弘さんインタビュー「ジャーナリズムは民主主義が機能するために必要な道具・理念」
  山田悦子さんインタビュー「日本マスメディアは報道の自由を正しく認識せよ」
 第5章 共同研究総括

第Ⅱ部 浅野ゼミ14期生活動報告
 第1章 夏合宿、シンポジウム「裁判員制度とメディア」(2008年8月1日)
 第2章 山口正紀さんゲスト講義 (2008年10月30日)
 第3章 教育GP 立教大学服部ゼミとの討論会(2009年1月19日)

第Ⅲ部 浅野健一教授から
 第1章 回顧2008
 第2章 浅野教授の文春裁判 控訴審結審・5月15日に判決へ

第Ⅳ部 2008年度 浅野ゼミ研究活動報告
 大学院 公開シンポジウム「長野聖火リレーで伝えられなかったこと」
 小林宗之さん「私のメディア体験」
 3回生 共同研究報告「裁判員制度と事件報道」
 2回生 共同研究報告「裁判員制度導入に向けて」
 公開シンポジウム「志布志事件とメディア―なぜ『架空の事件』を見抜けなかったのか―」
 公開シンポジウム「警察の裏金とマスメディア」
 1回生 共同研究報告「沖縄返還密約とマスメディア報道」
 公開シンポジウム「沖縄返還密約とメディア」(基調講演:西山太吉さん)

■浅野ゼミOB・OG寄稿
■浅野ゼミ 14期生卒業論文要旨
■ゼミ員よりひとこと
■浅野健一ゼミ 修士論文概要
■浅野健一ゼミOB・OG、現役名簿
(以上)

掲載日:2009年6月2日
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