以下は、1月25日に行われたゼミ説明会で配布した資料です。
ジャーナリズムを学びたい学生、国際的に活躍したい人はぜひ浅野ゼミに来てください。
2011年度3回生ゼミ説明会 浅野健一ゼミ 資料 11年1月25日、R301
研究室 KS401 電話 075-251-3457 ファクス 3066(学部共用)
E-mail: asanokenichi@nifty.com
<初心に戻り、確かな将来を見据えよう>
11年4月に3年生となる現2年生のみなさんに、「メディア学科に入学したときの初心に戻ろう」と呼び掛けたい。
米国の新自由主義(市場原理主義)・覇権主義が地球規模で崩壊する中、中国の台頭などで世界は激動しています。
市民的自由と人民統治(デモクラシー)を実現するための全面的な変革の時代です。日米で政権交代があり、これまで不問にされてきた日米軍事同盟、市場原理主義、死刑制度、記者クラブ制度、実名報道主義が揺らいでいます。
浅野ゼミの学部生と院生は10年6月に沖縄で3日間、調査をしました。沖縄の人たちは「在京大手メディア」は沖縄にとって米軍、日本政府に次ぐ「第三の壁」だと批判していました。
09年1月に浅野ゼミ主催のシンポで講演した西山太吉氏(元毎日新聞記者)は12月12日の第25回人権と報道を考えるシンポジウム「官僚・メディアと新政権―記者クラブ廃止に向けて―」で次のように述べました。
「日本のメディアは、過去の出来上がったものを前提にその後の報道をしていく。その既成事実によって現実が凄まじく衰頽し、問題が起っていることを問わない。今の辺野古問題もそうです。米軍再編がどのような背景で、どうして起こったのか、それが日本にとってどのような意味があるのか。ラムズフェルド・守屋での合意に縛られる必要性はない。そのことを何も取り上げないで、辺野古がどうだこうだ、これがなければ日米関係は崩壊するという論理だけで毎日報道されている。何も真実を報道していないのですよ」
沖縄密約の情報開示を求めて闘う西山氏は市民の関心と現場記者の奮起を呼びかけました。「民主党政権は情報公開が生命線。自民党政権下で確立した記者クラブ制度を打破する初めてのチャンスだ」と。
ジャーナリズムの役割がますます重要になってきました。こういう時代に、本格的にジャーナリズム論を学びたい人、大学院進学を考えている人、フリーランスも含めて報道機関での仕事を目指す人、国際的な活躍を希望する学生は、ぜひ浅野ゼミを考えてください。
浅野ゼミOBGはメディア関係就職の輝かしい実績を持っています。良識ある報道機関は、学生がどういう識見を持っているか、文章を書く力があるか、「この人と一緒に仕事をしたいかどうか」などで判断する。大学時代にしっかり学問し、世界を知ることです。
学部、大学院の浅野ゼミは縦のつながりが深いことも特徴です。2年間、楽しい仲間と過ごせるゼミにしたいと思っています。
学部教育を充実させるための文部科学省の「教育GP」を活用して、東京の大学(立教、早稲田など)ゼミと討論会を開催しています。浅野ゼミは、学生たちで執行部をつくり、学生が自主的に運営するゼミナールです。
3・4年生のゼミは学生生活にとって重要です。浅野ゼミのことをよく知って、判断してください。
<指導教員の専門分野と教育歴>
私は日本を代表する報道機関の一つである社団法人、共同通信社で22年間にわたり、現場記者、特派員と外信デスクを務めた後、16年半前に本学に来た。人権と報道、東アジアを中心とする国際関係論、ネット・ジャーナリズムなどの分野で調査研究しています。
教員になってからも、インディペンデント・ジャ-ナリスト(フリーランス)として新聞、雑誌、単行本などで取材、表現活動を続けている。サッカーW杯などスポーツと文化の取材も行い、朝鮮での撮影映像はNHK、朝日放送でオンエアされました。
浅野ゼミは様々なシンポや写真展を企画しています。
大学へ移って間もなく17年。この間、ゼミ合宿を東京、沖縄、高知、広島、北海道、ソウル、マニラ、ビルマ、NYなどで開きました。ゼミには留学生も多く、国際的です。09年3月末、博士課程後期を満期退学した韓国人留学生の李其珍(リ・キジン)さん=韓国のサンミョン(祥明)大学講師=が10年3月に博士論文を取得。浅野ゼミでは河崎准教授(浅野ゼミ2期生)、中国人留学生の韓景芳さん(上海の華東政法大学新聞学専攻准教授)に次いで3人目の博士です。李さんの同期、森類臣(ともおみ)さんは09年4月から社会学部嘱託講師を務め、博論をいま書いています。
浅野ゼミ13期生から4人新聞記者になった。14期生からも新聞記者、テレビ制作ディレクターになりました。15期生からも通信社、放送局、大手制作会社(2人)に入りました。16期生は民間会社に入る人、海外留学が3人ですが、続けて記者にチャレンジしているメンバーもいます。
最近の浅野ゼミには、新聞、テレビ、雑誌などの報道・制作関係の仕事を目指す学生たちが多いのは心強い。学部1年生から院生までのゼミメンバーの活躍ぶりはゼミのHPをご覧ください。浅野ゼミHP index.html
<どんな学生に入ってほしいか>
活字を読んでほしい。また、英語を完全にマスターしてもらいたい。
浅野ゼミを出た学生たちのほとんどは、自分たちの力で、メディア関係をはじめ、さまざまな分野で生き生きとして活躍している。「自治、自律、自立」の精神を持って将来を考えてほしい。
教育とは英語でeducateという。eはoutで、ductはbringという意味。学生の持っている才能、可能性を引き出すお手伝いをすることです。ゼミで何をするかは、ゼミを構成する学生たちが自主的に決め、進めてもらう。教員はゼミの学生たちを研究と人生の同志と考え、ゼミ員と共に学ぶという姿勢でいたい。
<ゼミで主に何をするか>
浅野ゼミでは、卒論を書くための個人研究とともに、ゼミで一つのテーマを決めて2年間をかけて共同研究を行う。最初の数回のゼミで、学生たちが話し合って自由にテーマを決める。
卒論も同じだが、浅野の専門分野から離れても全くかまわない。日本マス・コミュニケーション学会で認められている分野であれば、テーマは何でもよい。
浅野ゼミは1994年4月にスタートし、みなさんがメンバーになれば18期生となる。これまでに17期ゼミがありますが、その時々の国際関係、ジャーナリズムのあり方を考える共同研究が多い。先輩たちが取り組んだテーマには、「大震災と報道」「日米犯罪報道比較」「在日朝鮮人とメディア」「少年犯罪とメディア」「雪印事件と報道」「メディア規制法」「イラク戦争とメディア」「海外から見た日本のメディア」「JR尼崎脱線事故とメディア」「人権と報道 秋田事件と外国人犯罪を事例に」「表現の自由と法規制」「裁判員裁判と犯罪報道」「北東アジアの平和とメディア」など。
現場で多様な人々に会って話を聞き、自分の目で観察し、それを様々な方法で伝えることに関心のある学生に来てほしい。
共同研究の成果は、浅野ゼミが毎年発行するゼミ誌『DECENCY』(既に15号発行)に掲載するほか、一般書籍として、『激論・新聞に未来はあるのか』『ナヌムの家を訪ねて』『イラク日本人拘束事件と「自己責任」報道』(いずれも現代人文社)『英雄から爆弾犯にされて』(三一書房)を出版してきました。
個人研究はゼミ員それぞれの進路も考慮しながらすすめてもらう。学生生活の集大成として立派な卒業論文を書いてほしい。内外のジャーナリスト、法律家、NGO活動家などをゲストに招くほか、ゼミでさまざまな話題で自由討論も行う。
将来、報道ジャーナリスト、映像・文筆関係など「表現者」の仕事を目指す人や、国際的な機関で働く希望のある学生にはゼミ以外の時間にも指導できる。ゼミ学生を中心とする「記者を目指す人のための作文講座」(DSJ)でも私が顧問として指導します。
フリージャーナリスト、外国人記者、などメディア現場との交流も行う。同志社で、school of journalismの新しい伝統をつくりたい。
ゼミの2年間の調査研究は「DECENCY」に結実されます。今年3月に16期生が16号を出版。特集は「朝鮮(DPRK)とメディア」です。
<07・08・09年度卒業論文の主な題名>
07年度は「原爆報道の変遷」「死刑とマスコミ」「被写体の人権と写真報道~長崎市長銃撃事件を中心に~」「事件記者に必要な人権思想とは」「沖縄に対する日本国民・マスコミの構造的暴力」「日本の死刑制度とメディア」「教育ジャーナリズムの機能と意義~1920年代の生活綴方教育運動を中心に~」「中国のエイズ事情と報道」「9.17日朝首脳会談から発生した在日への嫌がらせとメディア」「GPS内蔵携帯と子ども」「北海道警裏金報道の検証」「地域社会におけるコミュニティFMとは~災害時に果たす役割の視点から~」
08年度は「日米地位協定と沖縄少女暴行事件」「9.11とハリウッド映画」「首相の靖国神社参拝とメディア 」「報道されないJR福知山線事故の刑事責任」「沖縄強かん事件から見る性犯罪報道のあり方」「二十一世紀の言論統制」「公害報道を行う環境破壊企業・マスメディア」「プロ野球中継はどこへ行くのか ~巨人戦の視聴率とプロ野球の今後~」
09年度は「『こうのとりのゆりかご』と報道」「女性記者の実態」「沖縄密約とメディア」「ドキュメンタリーの可能性」「自死と報道」「紙としての新聞の未来」「女性週刊誌を通して見る皇室とマスメディア」「大学生の逮捕とメディア」「環境問題と報道」「アジアの貧困をどう伝えるべきか」など。
☆4回生ゼミ長からのコメント
二年間をかけてゼミ生全員で協力しながら行う共同研究、大学での個人の学習の集大成といえる卒業論文、様々なフィールドで活躍する方々との貴重な出会いの場であるゲスト講義。他のゼミに比べて忙しくはありますが、大学生の本分である「学業」と本気で向き合うことのできる環境が浅野ゼミにはあります。報道・ジャーナリズムを真剣に学びたい。高い目的意識を持って大学生活を過ごしたい。ゼミ活動を通して自分をより一層成長させたい。与えられたテーマを学ぶだけでなく自分の興味のあるテーマについて積極的に学びたい。様々な人々との出会いを通して自らの世界を広げたい。そんな熱い思いを持った学生にとって、浅野ゼミは非常に素晴らしい環境です。
☆3回生ゼミ長からのメッセージ
浅野ゼミでは、ジャーナリズムに関心のある学生が集い、卒業論文の作成やゼミ内での発表などに限らず、共同研究やメディア関係の方などをお招きしての講演会、4年次にはゼミ誌『DECENCY』の編集・発行を行ったりと、アグレッシブに活動をしています。
共同研究は、ゼミ生同士で提案し合ってテーマを決め1年乃至2年かけて取り組みます。報道の在り方を検証する形は、どんなテーマにも共通するものですが、裁判員制度や沖縄の問題など時事的なテーマから、新聞の未来についてなど、その年によって選ぶテーマは多岐に渡ります。文献のみの研究ではなく、多くのインタビューを重ねるため、時には関西を飛び出すこともあるのが、浅野ゼミの特徴かもしれません。テレビ局や新聞社といった現場の見学にとどまらず、過去には少年院の見学や、他大との討論会、駐屯地の見学などにも出向いたことがあります。講演会の企画や合宿などの場面でも、ゼミ生ひとりひとりにたくさんのものを授けてくれる貴重な出会いばかりです。
個人研究だけでなく、共同研究やいろいろな企画に取り組むことで、忙しくはありますが、めぐってくるチャンスの多さには代え難いものがあります。その分必ず成長できます。ジャーナリズムや報道に関心のある方、大学でこれだけは頑張ったというものがほしい方、浅野ゼミというフィールドで共に学びませんか?ゼミ生一同、お待ちしています。
浅野研究室はKS401、内線3457です。
浅野ゼミについて聞きたいことがある人は気楽に訪問してください。
事前にメールを送ってください。asanokenichi@nifty.com
ファクス(075-251-3066 学部共用)でもOKです。
3年生で浅野ゼミを履修しない人も、私のクラス「新聞学原論Ⅰ」「新聞学原論Ⅱ」(木3)を
ぜひとって、ジャーナリズムの勉強をしてください。以下の科目も履修を薦めます。
○△ プロジェクト科目「夜間中学を社会に向けて発信しよう。夜間中学を知っていますか?」
(金1、科目担当者・次田哲治、科目代表者・浅野健一)
○ 「国際コミュニケーション論」(ブライアン・コバート)
△ 「比較メディア論」(ブライアン・コバート)
(以上)
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