三浦和義さんに無罪判決

浅野健一

ロス疑惑の「情報の銃弾」被害者である三浦和義さんに東京高裁は無罪判決を言い渡した。3月の甲山事件の「再び無罪」に続く、正義の判決だった。

私にコメントを求めてきたのはスポーツ・ニッポンだけだった。2日付けで掲載される。

私は大学の講義があって判決を傍聴できなかった。私は次のようなメッセージを三浦さんに送った。

《三浦さん無罪判決おめでとうございます。マスゴミに対する「有罪判決」です。本当に長い間ご苦さまでした。しばらくゆっくり葉月さん、ご両親と水入らずですごしてください。私の妻も娘も喜んでいます。本当によかったですね。これで日本のメディアも司法も少しは変わるでしょう。しっかり充電して反撃してください。

先日はお手紙をありがとうございました。

いまNHKが7時のニュースをやっています。秋山裁判長がマスメディア批判をしたのもよかったですね。マスコミのゴミ記者は、「予想外の判決」に動揺しています。検察に上告してほしいというニュアンスもあります。

「遺族」、米国の捜査官らを登場させて、無罪を認めたくない姿勢がありありです。今回の無罪報道にも大問題があります。

これからも和製パパラッチたちが三浦さんを追っかけると思いますが、マイペースで対応してください。しばらく山田悦子さんのやり方ですすめたらいいと私は思っています。

NHKは「事件の真相は何も分からない事態になった」(高橋省吾記者)とまで言っています。

帝京大学の土本教授は、「勇気ある起訴だったが、状況証拠だけでは有罪にできないことがはっきりした」とコメントしていました。NHKに抗議しました。

フジ、日本テレビはひどいようです。

スポーツ・ニッポンからコメントを求められたので談話を出しました。また連絡会は声明を出しました。

再会を楽しみにしています。》

 

一部マスコミは無罪判決が出たのに、まだ三浦さんが怪しいという印象を与えるニュースを伝えている。板倉宏日大教授は、最高裁でひっくり返るはずだというコメントをしている。デーブ・スペクター氏や湯川れいこ氏は、三浦さんを犯人視している。全く懲りない連中だ。

テレビ、新聞、通信社で当時ロス疑惑報道を展開したメディア関係者はほとんどが出世している。メディア幹部となった人たちは、きちんと三浦さんに立ち向かってほしい。

私はロス疑惑報道の最中にテレビ朝日「トウナイト」に出演して、田原総一朗氏と論争した。田原氏は「メディアが独自に調査して犯罪者だという疑惑を報道する自由がある」と述べた。私は「それは自由だが、もし犯人ではないと分かったら責任を取ってほしい。報道される側は生活を破壊されるのに、メディアは何のリスクも負わないのでは不公平だ」と反論して番組は終わった。

三浦さんを犯人と断罪してきた「ジャーナリスト」は、無罪判決が出ても、彼は妻を殺していると堂々と言えばいいと思う。最終的に彼や彼女の主張が間違えていると分かったら、ジャーナリストを辞めて、賃金の一部を三浦さんへの損害賠償金に充ててほしい。

週刊文春を出している文藝春秋が、「我々は三浦さんを犯人として報じたことはない」というのは情けない。

悪いと思うなら、三浦さんに誠実に謝罪すべきである。ロス疑惑とは一体何だったかを検証してほしい。

(98年7月1日)

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