1998年12月16日

「窓友新聞」と11行を除き全く同一内容

《大谷氏個人との信義問題》と「ダ・カーポ」編集長

浅野健一

「黒田ジャーナル」の大谷昭宏氏が、「窓友新聞」と「ダ・カーポ」に書いたディーセンシーに欠ける文章について、多くの人から問い合わせがあった。活字になると、思わぬ影響を与えるものだ。一日以内に回答してほしいと書いた(大谷氏にではなくテレビ朝日広報部に対してだが)ことが、とんでもないと大谷氏は言うのだが、8月25日の午後、大谷氏と一緒に取材していたテレビ朝日の関係者に聞いてくれれば、すぐに分かることなのだから、何も無理な要請ではない。映像、録音があればすぐに分かる。

テレビ局や新聞社は一日どころか、すぐに答えてほしいと質問するではないか。和歌山の夫妻に対して、「疑惑に答えてください」「何か言いなさい」と大声をあげた報道機関や社員のことを私はよく覚えている。

同志社の中では、私を嫌う学生たち(小林よしのり氏のファンが多い)が、大谷氏の言説を歓迎しているようだ。大谷氏は犯罪報道の実名報道主義を擁護しており、「悪い奴はメディアが懲らしめるのだ」という人々の尊敬を集めている。大学生の中にも多数の実名主義賛成者がいる。

ところで大谷氏はとんでもないことをしてしまった。

「窓友新聞」と「ダ・カーポ」の文章が、窓友新聞の方の11行を除いて全く同一文章だったのだ。「窓友新聞」1998年11月号の「連載37 大谷昭宏の怒りのげんこ」で、《「新聞学」教授のあきれた質問状/誹謗中傷に答える必要がないが・・・》と題して論評した記事と、「ダ・カーポ」(マガジンハウス発行)一二月一六日号の「ニュース虫瞰図」の「毒入りカレー事件取材の副産物。とんでもない大学教授がいた」というタイトル記事の二つのことである。

「窓友新聞」は縦二二字で一二九行。「ダ・カーポ」は縦一九字で一三五行である。驚いたのだが、この二つの記事は、タイトルと小見出し(一本)が違い、「窓友新聞」の記事にその読者に向けて説明した一一行(二四二字)が挿入されているだけで、その他の本文は全く同一文なのだ。一字一句違わないのだから、すごい。違う媒体に、同じことを書いていいのだろうかと思う。これまでも「窓友新聞」と月刊「宝石」にそっくりの記述があったのを覚えている。

「ダ・カーポ」の記事には「8月25日、塀越しに報道陣と話す○○容疑者」という説明のついた写真が載っているが、そこに写っているスーツ姿の男性は大谷氏のようだ。その時、横で毎日新聞を手にしていたのがテレビ朝日関係者だという有力情報がある。

私はテレビ朝日に抗議したが、テレビ朝日の今村広報部長は12月3日、ファクスで「当然のこと」と回答してきたので、一二月七日広報部の高木さんに口頭で再回答を求めた。12月8日、伊藤邦男社長の見解を求めるファクスを送った。一二月九日、テレビ朝日の今村広報部長と電話で話し合ったが、部長は問題の本質を理解しようとしていない。伊藤社長に見解を求めたと点については、広報部長が社長に説明したという。

私は一二月七日午前、マガジンハウス社に電話で抗議した。同日夕方には「ダ・カーポ」の秋葉均編集長に電話で抗議した。私は《貴誌は「窓友新聞」と同じ記事を載せるという提携の契約をしているのか》と聞いたところ、編集長は「そんなことは全くない。まだ「窓友新聞」を見ていないので、さっそく見てみる」と答えた。私は反論掲載を要求した。

マガジンハウス秘書室の鈴木さんは12月9日電話で、「浅野さんのご指摘のとおりと分かった。窓友新聞とのダブリ原稿であることを確認した。現在、法務室と協議している。お申し出の線で、秋葉編集長が正式に回答することになる」と述べた。ところが、12月15日に届いた秋葉編集長の回答は、「窓友新聞」とのダブル掲載について「これを小誌としては必ずしも良しとはしません」「大谷氏個人との信義問題」と指摘しながら、「第三者の関知することではない」と判断。反論掲載について「ご要望に沿う回答はいたしかねます」と述べている。

大きく後退した回答である。

大谷氏はTBSなどにも最近よく出て夫妻について言及している。カレー事件と保険金事件を分けているというのだが、「ヒ素」をキーワードにして、夫妻、特に妻をカレー事件で犯人という印象を与える番組の中で、人権侵害に加担していると思う。夫妻の妻についての形容詞もかなり問題がある。また、松本サリン事件の場合とは違うとか、「別件逮捕ではない」と断言するなど、国際的に認められた人権基準についても理解に乏しいと思わざるを得ない。

大谷氏、窓友新聞からは何の返答もない。黒田清氏は、ダブル掲載について、読者にどう説明するのだろう。

大谷氏は、彼がもっている連載記事のすべてに、私のことを書くと宣言していたが、月刊「宝石」の記事には全く書いていない。不思議なことだ。

大谷氏は12月9日のカレー事件での女性逮捕の日にも、テレビに出て、「まるで警察の広報官」(ある社会運動家)のような発言を繰り返していたという。ビデオを入手したい。「宝石」1月号の記事も、警察・検察に対する無警戒ぶりは相変わらずである。

和歌山事件を指揮しているのが、甲山事件で山田悦子さんに、税金を使って「ストーカー」のように付きまとっている逢坂大阪高検検事長なのである。

テレビ朝日広報部の高木さんは一二月七日、私に「大谷氏が、八月二五日午後のことはテレビ朝日とは関係がないと書いているのは、どういう意味なのか分からない。その時間はテレビ朝日の仕事をしていたはずだ」と語った。

大谷氏が出演したテレビ、ラジオ番組を録画、録音されている方がありましたら、お貸しください。特に、大谷氏が園部で逮捕されている妻と交わした会話の場面を見た人は連絡ください。ファクスの場合は0471ー34ー8555でお願いします。

また報道陣の方で、8月25日午後の大谷氏とテレビ朝日の行動について目撃した人は、ぜひ連絡ください。これまでに何人かから情報提供がありました。

(以上)

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