(以下、2010年度講義概要・シラバスより)
新聞学原論T・U
<新聞学原論T:概要>
新聞学とは英語のjournalism and mass-communication studies の訳である。東アジアでは新聞放送学,言論広報学などを表現する。「新聞」(ニュース)だけを対象にするのではなく,放送,雑誌,ネットなどすべての表現活動を含む。
高度情報化社会の現在,さまざまな情報が全世界に瞬時に,しかも大量に流れるようになった。地球市民のコミュニケーションのあり方が大きく変わろうとしている。そういう時代だからこそ,情報の取捨選択と活用方法が重要になっており,古典的意味でのジャーナリズムの価値がさらに高まる時代と言える。本クラスではジャーナリズム(報道)を中心に取り上げる。
適切な歴史観も持ち,現代をしっかり見つめ,未来を構想する知識人の責任は重い。市民の知る権利を代行して報道,評論活動に携わる職業としてのジャーナリスト(表現者)の現状を分析し,改革を求める。また情報を受け取る側の読者,視聴者はマスメディアからの情報にどうアクセスし,どう情報を読み取るべきかを探る。企業メディアに従事する人々は現状をどう改革すべきかを考える。両者が協同してジャーナリズムを生き生きさせる方策を模索する。
まず,報道(表現)の自由の意味を考える。人民の表現の自由が基本的人権として認められたのは18世紀からで,人類の長い歴史の中ではごく最近のことである。現在でも市民の表現の自由が保障されていない国々も少なくない。表現の自由が保障されていても,実態的には権力や大企業に情報を統制されている国々も少なくない。
日本にもメディアは,ジャーナリズム本来の権力監視の役割を十分果たしていない。市民にとっても最も重要な報道 が少ない。むしろ取材・報道の自由が個人の名誉・プライバシーを不当に侵害するケースが後を絶たない。メディアの人権侵害を理由に,政府与党はメディア規制三法案を成立させようとたくらみ,05年4月,個人情報保護法が完全施行された。
2001年1月に安倍晋三・自民党幹事長代理(当時,官房副長官)らがNHKの日本軍慰安婦問題の番組に対し,検閲を行ったことが明るみに出た。朝日新聞・長野総局虚偽メモ,NHK記者放火逮捕,記者による盗用など相次ぐ若い記者による「事件」がなぜ起きるのか検討する。権力とジャーナリズムの関係はどうあるべきかを追究する。
日本のメディア関係者が統一した報道倫理綱領を決め,綱領を守っているかどうかを監視するプレスオンブズマン・報道評議会を柱とするメディア責任制度が必要であり,スウェーデン,英国などをモデルに,同制度の確立のために何をなすべきかを検討する。裁判員制度が09年5月21日に始まり,犯罪報道の改革とメディア責任制度の確立が重要課題になっている。
マスメディアの現場で22年働き,世界各地を取材,その後も12年間日刊ベリタなどでバンコクでのW杯日朝戦を取材するなど「インディペンデント・ジャーナリスト」としての活動を続ける一方,メディア改革の市民運動「人権と報道・連絡会」の世話人を務める者としての体験を基に講義する。報道の自由は「パブリック・インタレスト」のためにあることを理解し,ジャーナリズムと情報産業の違いはどこにあるかを認識してもらいたい。
市民の知る権利にこたえ権力を監視し,市民の人権を擁護するジャーナリズムをどう創りだすかを検討する。
講義では内外の最新のニュースを取り上げる。本講義を受講してメディア関係に進む学生も多い。実際に新聞・通信社の記事をいくつか書いてもらう。また,随時,メディアの現場,報道被害者,記者クラブ訴訟の原告の市民らをゲスト・スピーカーに招いて話を聞く機会をなるべく多くつくりたい。
マスメディアについて知りたい人はぜひ履修を。
秋期の「新聞学原論U」も履習してほしい。
<新聞学原論T:到達目標>
企業メディア(NHKを含む)の実態を知り,情報をどう集め読み取るかの方法を知ることができる。
実際に記事を書いてもらい,現実の報道をどう変えるべきかを考察することができる。
企業メディアの労働現場の実態を知ることができる。
<新聞学原論T:授業計画>
以下はあくまでである。事件事故の発生などで,変更の可能性がある。
- 新聞学とは何か。日本における表現の自由,報道の自由の現状,憲法第21条の規定。放送法。プレスを規制する法律。法規制の動き。
- 表現の自由に政治的主張とバラードに起源をもつ二つの流れ。君主,国家からの自由な言論を獲得,市民革命との関連。ジャーナリストの責務。
- 裁判制度の開始で問われる事件報道。「報道される側」から見たメディア。爆弾犯にされたタクシー会社社長のケース。テレビ朝日が90年1月13日放送「ザ・スクープ」を見る。
(授業時間外の学習) 事件を伝える新聞記事を切り抜いて問題点を指摘
- 1994年6月に起きた松本サリン事件の報道被害者の河野義行さんと浅野監修のビデオを見て,報道の「加害」責任を検討する。甲山事件の山田悦子さんのケースも。
- 足利事件・菅家利和さんと支援者の西巻糸子さんのゲスト講義
(授業時間外の学習)冤罪とメディアでレポート
- 光市事件など少年事件の取材・報道。犯罪被害者の人権。04年4月のイラク・日本人拘束事件報道。集団的取材の地域社会の破壊,人権侵害。神戸連続児童殺傷,京都日野小,池田小,長崎,秋田児童殺人事件,いじめ自殺など。
- 報道の自由と個人の人格権をどう調整するか。平川宗信教授の政治的権利としての「知る権利」の理論。調査報道。
- メディアの不法,不当行為をどう監視し,規制するか。法的規制,民事裁判による対応,社会的コントロール。
- 権力の介入を防ぐメディア責任制度(報道倫理綱領と報道評議会)。
- 北欧,英国,ドイツ,豪州,台湾などの報道評議会・プレスオンブズマンの歴史と現状。
(授業時間外の学習)日本の犯罪記事を北欧型に書き換える
- 日本におけるBPO(BRC),新聞各社の苦情対応機関の現状と改革点。
- 米国ジャーナリズムなどにおける客観報道原則。
(授業時間外の学習)外国メディアの記事を選んで,日本の報道と比較
- 日本の報道にも客観報道原則を。現状は盗作が横行。阪神・淡路大震災の発生直後のNHKテレビ報道から考える。
- 冤罪・志布志事件を調査報道した梶山天(たかし)朝日新聞記者のゲスト講義
(授業時間外の学習)ゲスト講義の感想文提出
- 日本のジャーナリズムの課題と改善策
<新聞学原論U:概要>
なるべく新聞学原論Tをとったうえで履習してほしい。
新聞学原論Tに続いて,新聞学(journalism and mass-communication studies) の基本を教える。「新聞」だけを対象にするのではなく,放送,雑誌,ネットなどの現場がどうなっているのか,その問題点を抽出して改善策を探る。政治経済,皇室,国際,生活報道など。
市民の知る権利にこたえ権力を監視し,市民の人権を擁護するジャーナリズムをどう創りだすかをインターネット・メディアなどオルタナティブメディアによる市民参画型ジャーナリズムの創生を考える。
講義では内外の最新のニュースを取り上げる。[U]においても実際に新聞・通信社の記事をいくつか書いてもらう。また,随時,メディアの現場(テレビ,新聞),雑誌,報道被害者,記者クラブ訴訟の原告の市民らをゲスト・スピーカーに招いて話を聞く機会をなるべく多くつくりたい。
<新聞学原論U:到達目標>
本講義を履修する学生は,新聞,放送,雑誌,ネットから多様で多角的な情報をどう集め,使うかの方策を学び,多くの社会問題の中で議題を設定し,解決策を探り,行動する力を身につけることができる。メディア・リテラシー能力を獲得できる。国際関係,平和構築と報道のかかわりなどを考察し,個々人の表現能力を高め,文字や映像で発表,伝達する能力を身につけることができる。メディア関係への就職を目指す学生に役立つ知識を得ることができる。
<新聞学原論U:授業計画>
以下はあくまでである。事件事故の発生などで,変更の可能性がある。
- 市民のメディア・リテラシーをどう高めるか。
- テレビの「やらせ」。NHKジャカルタ支局の「やらせ爆弾漁」裁判。安倍晋三,中川昭一両衆院議員によるNHK日本軍慰安婦問題への政治介入問題。
- マスメディアの取材・報道現場はどうなっているのか。賃金,労働条件。読売新聞「サツ回り入門」,毎日新聞「取材入門読本」から。
- ジャーナリストの上杉隆氏のゲスト講義。日本特有の「記者クラブ」問題。鈴木和枝氏の記者クラブ歴史分析。記者クラブの発生。藤田孝夫氏の裁判。鎌倉市と長野県の記者クラブ廃止。EUの日本政府への廃止要求。
(授業時間外の学習)どこかの自治体などの記者クラブを訪問して調査結果をレポート提出
- 政治報道。内閣記者会と首相官邸(政府)のゆ着。森元首相の「神の国」発言とNHK大木記者の指南書。沖縄米軍問題,小泉・安倍反動政権を放置するメディア。
- 皇室報道。皇室に対する尊敬語。中山俊明氏の「紀子の右手」写真の波紋と宮内庁「嘱託カメラマン」。昭和天皇死去報道,皇太子婚約,長女出産,雅子妃病気,悠仁誕生などの報道分析。
- 国際報道の問題。国益と人民の利益の区別がつかない記者。東南アジア報道,PKO。テレビ朝日「ヘイホ」番組でのインドネシア。
- メディアの性差別。新聞に現われた女性。女性であるが故の報道。メディアの男性社会。女性記者へのセクハラ。
- 戦争とメディア。大新聞,NHKの戦争責任。1945・8・15以降そのまま残ったメディア。ドイツとの比較。日本軍の侵略後に,大新聞は市場を求めて現地で新聞を出した。
- イラク・アフガンで取材する西谷文和さんのゲスト講義。米英のイラク侵略・占領とメディア,米国のFAIR. JCJ. RSFなど外国のメディア監視団体。アルジャジーラの挑戦。
(授業時間外の学習)西谷さん講義の感想文。
- 日本ジャーナリズム史上で,最悪の朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮,DPRK)についての偏向・歪曲報道。
- 既存の企業メディアとインディペンデント・メディア。インターネットメディア,特に韓国のオーマイニュース,プレシアン。ハンギョレ新聞の成功。日本ではなぜオルタナティブ・メディアが発達しないのか。
- ジャーナリズムと情報産業の違い。日本の新聞,雑誌,放送の報道のレベルは国際的に見てどうか。ジャーナリズムに未来はあるか。日本におけるジャーナリズムの改革への道筋。
- 自衛隊“出兵”とメディア。東アジアの平和と安定を目指すジャーナリズム。
- 平和・共生とジャーナリズム
<新聞学原論T・U:成績評価基準>
- 平常点(20%):講義時に質問する。討論への参加の有無。
- 小レポート( 30%):何回かリポートを出してもらう。テーマについてよく調べたうえで,自分の意見を表明してほしい。
- 期末筆記試験(50%)
- 特記事項:基本的には学期末に行うテストを重視する。リポートの提出,そのほか授業時に課題を出す。それらを総合評価して採点する。授業に出ないものは単位をとりにくい(世界中のまともな大学では普通のこと)と考えたほうが賢明。
<新聞学原論T・U:テキスト>
- 浅野 健一 『新版 犯罪報道の犯罪』 (新風舎文庫、2004)
- 浅野 健一 『犯罪報道と警察』 (三一新書、1987)
- 浅野 健一 『天皇とマスコミ報道』 (三一新書、1989)
- 浅野 健一 『過激派報道の犯罪』 (三一新書、1989)
- 山口 正紀・浅野 健一 『匿名報道』 (学陽書房、1995)
- 浅野 健一 『マスコミ報道の犯罪』 (講談社文庫、1996)
- 浅野 健一 『メディア・ファシズムの時代』 (明石書店、1996)
- 浅野 健一編 『激論・新聞に未来はあるのか−浅野ゼミ・シンポの記録−』 (現代人文社、1996)
- 浅野 健一・山口 正紀編 『無責任なマスメディア』 (現代人文社、1996)
- 浅野 健一 『メディア・リンチ』 (潮出版、1997)
- 浅野 健一 『「犯罪報道」の再犯−さらば共同通信社−』 (第三書館、1997)
- 浅野 健一 『日本大使館の犯罪』 (新風舎文庫、2004)
- 浅野 健一 『犯罪報道とメディアの良心−匿名報道と揺れる実名報道−』 (第三書館、1997)
- 浅野 健一編 『英雄から爆弾犯にされて』 (三一書房、1998)
- 浅野 健一 『脳死移植報道の迷走』 (創出版、2000)
- 浅野 健一・河野 義行 『新版 松本サリン事件報道の罪と罰』 (新風舎文庫、2004)
- 浅野 健一 『メディア規制に対抗できるぞ!報道評議会』 (現代人文社、2002)
- 人権と報道・連絡会編 『検証・「拉致帰国者」報道』 (社会評論社、2003)
- 浅野・ノーム・チョムスキー 『抗う勇気−ノーム・チョムスキー+浅野健一対談−』 (現代人文社)
- 浅野 健一 『「報道加害」の現場を歩く』 (社会評論社、2003)
- 同志社大学 浅野 健一ゼミ編 『イラク日本人拘束事件と「自己責任」報道』 (現代人文社、2005)
- 野田 正彰・浅野 健一 『日本のマスメディアと私たち』 (晃洋書房)
- 浅野 健一 『評論社会科学(第78号)−犯罪被害者とジャーナリズム−』 (同志社大学社会学会、2006)
- 浅野 健一 『戦争報道の犯罪−大本営報道化するメディア−』 (社会評論社、2006)
- 浅野 健一・野田 正彰共著 『対論・日本のマスメディアと私たち』 (晃洋書房、2005)
- 浅野 健一 『メディア「凶乱」(フレンジー)−報道加害と冤罪の構造を撃つ−』 (社会評論社、2007)
- 浅野 健一 『裁判員と「犯罪報道の犯罪」』 (昭和堂、2009)
<新聞学原論T・U:参考文献>
- 村上 直之 『近代ジャーナリズムの誕生』 (岩波書店、1995)
- 『検証・オウム報道』 (現代人文社、1995)
- 浅野 健一・鈴木 邦男 『激論 世紀末ニッポン』 (三一新書、1995)
- 北村 肇 『腐敗するメディア』 (現代人文社、1996)
- 潮見 憲三郎 『オンブズマンとは何か』 (講談社、1996)
- 浅倉 拓也 『アメリカ報道評議会とマスコミ倫理』 (現代人文社、1996)
- 白井 厚編 『大学とアジア太平洋戦争』 (日本経済評論社、1996)
- 新聞労連 『新聞人の良心宣言』 (1997)
- 浅野 健一 『天皇の記者たち−大新聞のアジア侵略−』 (スリーエーネットワーク、1997)
- 永井 浩 『アジアはどう報道されたか』 (筑摩書房、1998)
- 野田 正彰 『戦争と罪責』 (岩波書店、1999)
- 浅野 健一ゼミ編 『ナヌムの家を訪ねて−日本軍慰安婦から学んだ戦争責任−』 (現代人文社、1999)
- 北村 肇編 『新聞記者をやめたくなったときの本』 (現代人文社、2001)
- 青弓社編 『プライバシーと出版・報道の自由』 (青弓社、2001)
- 「週刊金曜日」別冊ブックレット 『金曜芸能−報道される側の論理−』 (金曜日、2001)
- 浅野健一・河野義行監修ビデオ『ドキュメント 人権と報道』製作・オーパス,発行・現代人文社,1998。
- 斉間 満著 『匿名報道の記録−あるローカル新聞社の試み−』 (創風社出版)
<新聞学原論T・U:備考>
教科書,参考書に指定した本を読んでから授業を聞いてほしい。浅野ゼミHPも見ること。新聞,雑誌をできるだけ多く読み,テレビ各局のニュース番組を見ること。あらゆるジャンルのジャーナリストを志望する学生は履習するといい。
講義中,講義前後の質問を歓迎。研究室は渓水館(KS)401号。研究室訪問のアポイントはメール(asanokenichi@nifty.com),ファックス(075-251-3066=学部共用=)で。
最初に戻る
メディア学演習T・U・V・W(3・4回生)
<メディア学演習T:概要>
<3・4回生ゼミのスタート>卒業論文のための個人研究をすすめるとともに,ゼミで一つのテーマを決め,2年間にわたって共同研究を行う。テーマは,時事問題,国際関係などについてのマスメディア取材・報道に関することで,最初の数回のゼミで,学生たちが討論して自由に決める。
浅野ゼミは1994年4月にスタートし,これまでに16期ゼミがある。今回,17期となる。取材・報道のあり方を考える共同研究が多い。先輩たちが取り組んだテーマには,「阪神・淡路大震災と報道」「日米犯罪報道比較」「在日・韓国朝鮮人とメディア」「脳死移植報道」「少年犯罪とメディア」「雪印事件と報道」「メディア規制法」「米英のイラク侵攻とメディア」「海外から見た日本のマスメディア」「メディアによる人権侵害―外国人・和歌山カレー」「報道の自由と法規制」「裁判員裁判と犯罪報道」「北東アジアの平和とメディア」などがある。
3期生はフィリピン,4期生はビルマ,9期生は米国,1・5・11・15期生はゼミ有志が韓国で現地調査を行った。
国内のゼミ合宿は沖縄,高知,広島,北海道などで開いた。
前日本外国特派員協会(FCCJ)会長のルフト記者,アジアプレス綿井健陽氏らをゲストに招いた。05年12月,東京で英国・韓国・米国の特派員を招いてシンポを開催。12期生はJR事故などの「事件・事故の被害者と報道」について研究している。05年9月,高知で合宿。高知新聞・高知放送を見学し,「地方新聞における事件事故報道」を学んだ。13期生は06年9月広島で合宿し秋葉忠利市長に取材した。14期生は関西テレビ「あるある」問題を中心に権力によるメディア規制をテーマにしている。15期生は人権と報道をテーマにして,沖縄とソウルで合宿した。
調査研究の方法は,主としてインタビュー,フィールドワーク(海外を含む)である。したがって,文献を読み,先行研究を行ったうえ,時に教室から飛び出して現場で多様な人々に会って話を聞き,自分の目で観察し,表現することに関心のある学生が望ましい。
実際に取材,調査することで,アポの取り方や文章の書き方,映像の撮り方の基本を修得する。浅野の22年間の共同通信記者,12年間の独立記者としての経験を基に,ジャーナリズムの息吹きを伝える。05年にW杯日朝戦をバンコクで取材した。
共同研究の成果は,浅野ゼミが毎年発行するゼミ誌『DECENCY』に掲載するほか,一般書籍としてこれまでに4冊出版した。韓国での調査をもとにビデオを作成した学年もあった。HPやネットでも一部を公表する。
個人研究はゼミ員それぞれの進路も考慮しながら,卒論で何を書くかを早めに決めてもらい,メディア学専攻の学生生活の集大成として学会やメディア現場でも注目されるような論文を期待する。院生との交流も盛んだ。
内外のジャーナリスト,法律家,NGO活動家などをゲストに招くほか,ゼミでさまざまな課題で自由討論も行う。ゼミの時間以外にも,希望する学生には指導を行う。実際に使える英語をマスターしてもらう。
学生と共に人権と民主主義を確立するため,国際的視点からのメディア研究をすすめたい。
韓国ヨンセ大学など内外の他大学のジャーナリズム専攻のゼミとの交流をはかる。将来,新聞・通信社,放送局,出版社で報道を目指す人を歓迎。ジャーナリストなど表現者やNGOを含む国際機関職員,研究者を目指す人にも来てほしい。08年12月,最高裁の平木正洋参事官にインタビュー,09年1月,文科省の教育GPで立教大学の服部孝章ゼミと共同討論会を開いた。10年1月には,早稲田大学法学部・水島朝穂ゼミ,朝鮮大学校の宋修日(ソン・スイル)ゼミと討論会を行った。GP討論会の成果は社会学部の教育GPのHPを参照。
ジャーナリズムの役割がますます重要になってきました。こういう時代に,本格的にジャーナリズム論を学びたい人,大学院進学を考えている人,フリーランスも含めて報道機関での仕事を目指す人,国際的な活躍を希望する学生は,ぜひ浅野ゼミを考えてください。
浅野ゼミOBGはメディア関係就職の輝かしい実績を持っている。良識ある報道機関は,学生がどういう識見を持っているか,文章を書く力があるか,「この人と一緒に仕事をしたいかどうか」などで判断する。大学時代にしっかり学問し,世界を知ることだ。
学部,大学院の浅野ゼミは縦のつながりが深いことも特徴。2年間,楽しい仲間と過ごせるゼミにしたい。そのスタートが「演習T」。
ゼミには留学生も多く,国際的。09年3月末,博士課程後期を満期退学した韓国人留学生の李其珍(リ・キジン)さん=韓国のサンミョン(祥明)大学講師=が3月に博士論文を取得する見込み。浅野ゼミでは河崎准教授(浅野ゼミ2期生),中国人留学生,韓景芳さん(上海の華東政法大学新聞学専攻准教授)に次いで3人目の博士。
浅野ゼミ13期生から4人新聞記者になった。14期生からも新聞記者,テレビ制作ディレクターになった。15期生からも通信社,放送局,大手制作会社(2人)に就職予定。
最近の浅野ゼミには,新聞,テレビ,雑誌などの報道・制作関係の仕事を目指す学生たちが多い。
浅野ゼミは,学生たちで執行部をつくり,学生が自主的に運営するゼミナール。3・4年生のゼミは学生生活にとって重要。浅野ゼミのことをよく知って,履修を。
<メディア学演習T:到達目標>
新聞,放送,雑誌,ネットから多様で多角的な情報をどう集め,使うかの方策を学び,社会の中で議題を設定し,解決策を探り,行動する力を身につけることができる。メディア・リテラシー能力を獲得できる。あるテーマを決めて共同で調査研究することで,協同作業の進め方を学び,プレゼン能力を高め,文字や映像で発表,伝達する能力を身につけることができる。
<メディア学演習T:授業計画>
1 共同研究のテーマ案の提出
2,3 共同研究テーマの設定
4 共同研究のスタート
5 ゲスト講義(河野義行氏を予定)
6,7 共同研究を進める
8 ゲスト講義(メディアの現場記者)
9〜12 共同研究を進める
13,14 卒論テーマの第一次発表
15 春期の共同研究のまとめ
<メディア学演習U:概要>
この演習では,演習Tに続き個人研究とともに,ゼミでテーマを決めた共同研究を行う。
共同研究の成果は,浅野ゼミが毎年卒業時に発行するゼミ誌『DECENCY』に掲載するほか,一般書籍として4冊出版した。ゼミのHPでも一部を公表する。
個人研究はゼミ員それぞれの進路も考慮しながら,3回生の秋期にテーマを決め卒論の執筆のための調査研究をすすめる。内外のジャーナリスト,法律家,NGO活動家などをゲストに招くほか,ゼミでさまざまな課題で自由討論も行う。ゼミの時間以外にも,希望する学生には個別指導を行う。
<メディア学演習U:到達目標>
演習を履修する学生は,新聞,放送,雑誌,ネットから多様で多角的な情報をどう集め,使うかの方策を学び,社会の中で議題を設定し,解決策を探り,行動する力を身につけることができる。メディア・リテラシー能力を獲得できる。あるテーマを決めて共同で調査研究することで,協同作業の進め方を学び,個々人のプレゼン能力を高め,文字や映像で発表,伝達する能力を身につけることができる。
<メディア学演習U:授業計画>
1 秋期の共同研究の進め方を決める
2〜4 共同研究の調査
5,6 卒論中間発表
7 ゲスト講義(新聞・通信記者)
8〜11 共同研究
12 ゲスト講義(放送記者)
13 共同研究
14,15 春・秋の共同研究のまとめ
<メディア学演習V:概要>
前年度からのゼミ共同研究「北東アジアの平和とメディア」を続ける。また,各自の進路に合わせて個人研究をすすめ,卒業論文の研究経過を,中間発表(年間3回)してもらう。ゲストを招き卒論合宿も予定。
<メディア学演習V:到達目標>
演習を履修する学生は,新聞,放送,雑誌,ネットから多様で多角的な情報をどう集め,使うかの方策を学び,社会の中で議題を設定し,解決策を探り,行動する力を身につけることができる。メディア・リテラシー能力を獲得できる。あるテーマを決めて共同で調査研究することで,協同作業の進め方を学び,個々人のプレゼン能力を高め,文字や映像で発表,伝達する能力を身につけることができる。
<メディア学演習V:授業計画>
1 2年目に入った共同研究の1年間の進め方の決定
2 共同研究について討論
3〜5 共同研究を進める
6 ゲスト講義(報道被害者)
7〜10 共同研究を進める
11,12 卒論中間発表
13,14 共同研究について全体討論
15 春期の共同研究
<メディア学演習W:概要>
春期からの共同研究を続ける。また,各自の進路に合わせて個人研究をすすめ,卒業論文の研究経過を中間・最終発表してもらう。
『DECENCY』16号(2011年2月発行)の編集,発行。
<メディア学演習W:到達目標>
演習を履修する学生は,新聞,放送,雑誌,ネットから多様で多角的な情報をどう集め,使うかの方策を学び,社会の中で議題を設定し,解決策を探り,行動する力を身につけることができる。メディア・リテラシー能力を獲得できる。あるテーマを決めて共同で調査研究することで,協同作業の進め方を学び,ゼミのジャーナル「DECENCY」にまとめることで編集の技術を学ぶことができる。ゼミでの様々な活動で,個々人のプレゼン能力を高め,文字や映像で発表,伝達する能力を身につけることができる。
<メディア学演習W:授業計画>
1 秋期の共同研究の実施に向けて予定を決める
2〜5 共同研究を進める,卒論中間発表
6 ゲスト講義(メディア研究者)
7〜10 共同研究を進める
11,12 卒論・最後の中間発表,みんなで討論
13,14 ゼミ誌への研究報告書作成
15 共同研究の総括
<メディア学演習T・U・V・W:成績評価基準>
平常点(100%):出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等。
特記事項:出席を重視する。
<メディア学演習T・U・V・W:テキスト>
- 浅野 健一 『評論社会科学(第78号)−犯罪被害者とジャーナリズム−』 (同志社大学社会学会、2006)
- 浅野 健一 『戦争報道の犯罪−大本営報道化するメディア−』 (社会評論社、2006)
- 浅野 健一・野田 正彰共著 『対論・日本のマスメディアと私たち』 (晃洋書房、2005)
- 浅野 健一 『裁判員と「犯罪報道の犯罪」』 (昭和堂、2009)
<メディア学演習T・U・V・W:参考文献>
- 浅野 健一ゼミ誌 『DECENCY 11-15号』 (2006〜2010)
- 浅野 健一 『新版 犯罪報道の犯罪』 (新風舎文庫、2004)
- 浅野 健一編 『激論・新聞に未来はあるのか−浅野ゼミ・シンポの記録−』 (現代人文社、1996)
- 浅野 健一 『「犯罪報道」の再犯』 (第三書館、1997)
- 浅野 健一・山口 正紀 『匿名報道』 (学陽書房、1995)
- 浅野 健一編 『英雄から爆弾犯にされて』 (三一書房、1998)
- 同志社大学 浅野 健一ゼミ編 『ナヌムの家を訪ねて』 (現代人文社、1999)
- 浅野 健一 『日本大使館の犯罪』 (新風舎文庫、2004)
- 浅野 健一・河野 義行 『新版 松本サリン事件報道の罪と罰』 (新風舎文庫)
- 浅野 健一 『メディア規制に対抗できるぞ!報道評議会』 (現代人文社、2002)
- 人権と報道・連絡会編 『検証・「拉致帰国者」報道』 (社会評論社、2003)
- 浅野・ノーム・チョムスキー 『抗う勇気 ノーム・チョムスキー+浅野健一 対談』 (現代人文社)
- 浅野 健一 『「報道加害」の現場を歩く』 (社会評論社、2003)
- 同志社大学 浅野 健一ゼミ編 『イラク日本人拘束事件と「自己責任」報道』 (現代人文社、2005)
- 浅野 健一・野田 正彰 『日本のマスメディアと私たち』 (晃洋書房、2005)
- 浅野 健一 『メディア「凶乱」(フレンジー)−報道加害と冤罪の構造を撃つ−』 (社会評論社、2007)
- 浅野 健一ゼミ会報誌 『DECENCY第11・12・13号』 (浅野研究室、2006)
- 『評論 社会科学』 (同志社大学社会学会) 誌上の浅野論稿
- 斉間 満著 『匿名報道の記録−あるローカル新聞社の試み−』 (創風社出版)
<メディア学演習T・U・V・W:備考>
ゼミ生は毎日,新聞・テレビ・雑誌でニュースにふれること。古典から近著まで本を読むのも大切。「映像メディアも活字が基本」(藤岡幸男・朝日放送報道部長)である。ゼミの時間以外でも何でも聞いてほしい。
連絡はメール(asanokenichi@nifty.com)またはFAX(075-251-3066=共用=)で。
浅野「新聞学原論T・U」,ブライアン・コバート講師「国際コミュニケーション論」「比較メディア論」,森類臣講師「外国書講読(英語)T・U」の履修を勧める。
最初に戻る
夜間中学を社会に発信しよう!夜間中学生を知っていますか?(プロジェクト科目)
*PJ夜間中学の履修を
いよいよ、プロジェクト科目「夜間中学を社会に発信しよう!夜間中学生を知っていますか?」の最終年度がスタートします。プロジェクト科目(以下PJ)は同志社大学が社会人を外部講師に迎えて単なる座学でなく、学部や学年を超えた学生たちの現地学習などを通した自主的な活動を通して、課題解決に迫ろうという取り組みです。
公立夜間中学は全国に35校しかなく、現職教員でも滅多に訪れることのない「現場」ですが、このPJでは最低10回、私の勤務する奈良市立春日夜間中学を訪問し、夜間中学に学ぶ生徒たちにふれあいます。また、学内での講義にも夜間中学卒業生で夜間中学増設運動に奮闘する野雅夫さんやテレビ、新聞の現場で活躍する現職の記者などをお迎えし、実践的な講座を展開します。さらに2009年度生は春日夜間中学を外部に紹介する啓発リーフレットを、2010年度生は夜間中学問題を学内外に紹介するフリーペーパーを作成し、いずれも好評です。
下記は今年同科目を受講した2010年度4回生とTAから、来年度受講する学生のへのコメントです。
「社会の中で無視されている問題について考えたい人、教育ってなんだろうかと思っている人、世の中に発信していくことに興味がある人には、本当に取ってもらいたい科目です。初めて夜間中学校に行く時は、自分よりずいぶん年上の「中学生」たちが文字を学んでいることに感動するかもしれません。でも一年間通うと、それだけでは済まされないことに気がつきます。是非挑戦してみてください」(4回生)
「夜間中学生の方々は今、大変厳しい状況にいます。その現状を少しでも社会に伝えることで、状況が好転すればと私たちは一年間躍起になってきました。しかし、状況は以前変わらないままです。この一年間で私たちはさまざまなことを学びました。「教育とは何か」、「戦争の傷跡」、「どういう社会をつくるのか」。これらのことを考えることが「より良い社会をつくる」ことのきっかけになると思います。目に見える成果はないかもしれませんが、有意義な一年になることは間違いないでしょう」(TA)
PJは今回が受講最後のチャンスとなります。講座受講生にはメディアや教職で活躍する先輩も多く、メディア、教育、政治、福祉、在日外国人問題などに興味のある学生にはぜひとも受講してほしい講座です。
PJ「夜間中学」の詳しい内容は下記を参照してください。http//pbl.doshisha.ac.jp/html/appeal/1118.html
最初に戻る
|