浅野ゼミ・ゼミ生ページ・卒業生 | ||||||||
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「日本のムスリムから見る日本の報道」 |
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私たちは、同志社大学文学部社会学科新聞学専攻、浅野健一ゼミ2回生です。2001年10月から半年間で行われるゼミ「新聞学基礎演習」で、当初は池田小事件に関する報道の問題を検証しようということになっていましたが、2001年9月11日に米国で発生した、連続「自爆攻撃」事件に関して、日本で現在行われている、マスメディア報道のあり方に疑問を感じ、共同研究という形で検証を始めようということになりました。 私たちの意見としては、このあってはならない悲惨で残酷な事件だと思っています。しかし、この事件の取材・報道に偏りがあるのではないかと考えています。事件がなぜ起きたかなど別紙の「共同研究の目的と意義」にも書きましたが、情緒的な対応の目立つ米国寄りの報道になっていて、公正、中立の立場で報道されていないのではないだろうかということでまとまりました。 そこで、私たちは、特に、日本に住んでいるムスリム(イスラム教信者)たちが、9・11に関する日本のメディア報道をどのように見ているかについて調査することにしました。 今までに、アフガニスタン現地で北部同盟などの取材を20年来続けてきた、同志社の大先輩である長倉洋海氏へのインタビューをはじめ、神戸モスクでの聞き取り調査、京都ムスリム協会へのアプローチ、奈良に住んでいるムスリムへの取材などを行ってきました。今後は、学生や、一般の方々、そしてムスリムの方々へのアンケートや、放送局、新聞社での調査などを行っていく予定です。 この問題に関心のある方々から、多くの意見、感想などを頂ければ、より良い研究となると思っております。下記の私たちの共同研究の目的、意義をお読みになって、意見、感想、情報などございましたら、どんな些細なことでもお教えいただければ嬉しく思います。 |
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研究目的 | ||||||||
2001年9月11日に米国で起きた自爆攻撃(マスメディアは「同時多発テロ事件」と報道)を受けて、その後米国は一連の事件の首謀者としてオサマ・ビンラディン氏と断定し、2001年10月8日未明にオサマ・ビンラディン氏をかくまっているとされているアフガニスタンのタリバン政府に空爆を開始した。空爆は国連支援の非政府組織(NGO)、国際赤十字委員会、病院、寺院、住宅など民間施設にもおよび爆撃は何の罪もない一般市民への被害も広がっている。タリバン側はこの攻撃に対し「米国のテロ行為」だと批判声明を出している。一方、米国内でも一部ではあるが、ブッシュ政権の軍事作戦に対する批判的な声も出始めている。日本では「テロと戦う」ためとして戦時地域へ自衛隊派遣を可能にするテロ対策特別措置法など三法が10月29日に成立した。これに対しては明確に反対したメディアはほとんどなく、本来メディアが持つべき権力の監視の機能を果たしていないように思われる。 日本のマスメディア報道は米国メディアの影響を強く受けており、今回のテロ事件の背景にあるこれまで米国が行ってきた中東政策などにはあまり触れておらず、あたかも「被害者」米国=正義、「加害者」イスラム原理主義(急進派)=悪という偏った視点からの情報に対して疑問を持つことなく、そのまま流す形の報道になっていると指摘もある。また、このような報道は単に「デモが起こった」「空爆が開始された」など実況中継的なものが中心になっていて、ここでもメディアが持つ問題の分析・提言機能を十分に生かしていない。 このような報道によって日本に在住しているイスラム教信者(ムスリム)、アラブ系外国人に対し不当な差別や不利益を受けているということも聞いている。このような報道被害は断じて、許されることではなくこの原因を追求していく必要がある。 そこで我々は、@日本のマスメディアが日本在住のムスリムについてどのように取材し、報道したかA日本在住のムスリムが日本のマスメディアや日本社会に対してどのような意見を持っているかB日本在住のムスリムと日本の市民が真の理解を持って共生するためにメディアができること、メディアがあるべきすがたを探る―などについて調査研究することにした。 |
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研究意義 | ||||||||
米国同時多発テロ事件後、それまで日本のマスメディアにはほとんど伝えられなかったアフガニスタンのタリバン政権、ビンラディン氏、オマル氏などの名前やアフガニスタンの一般民衆の実状が取り上げだされた。このように話題になったときだけ報道するということはマスメディアの怠惰を露呈しているように思われる。このため当然のことながら、マスメディア、政府ともに日本に住むイスラム教徒の正確な人数もわかっておらず、彼らがどのような生活をしているのか関する情報も極めて少ない。(日本人信徒は約五万人と言われている)このため日本在住のムスリムと日本人ムスリムに直接会った上で聞き取り調査などを通じて実態が明らかになると思われる。日本におけるマイノリティ(少数派)のひとつであるイスラム教徒たちが日本の新聞、テレビ、雑誌などの報道をどう見ているのかを通して、日本のジャーナリズムが抱える諸問題が明らかになるであろう。 |
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(1) 私たちは正確なイスラム世界を知らないので、正確な情報などを集め、イスラム世界について知る。 (2) 米国同時多発テロ事件後の主要各紙のイスラム世界、ムスリムに対する報道姿勢について調査し、考える。 (3) 日本のイスラム教徒の人に日本のマスメディア報道について話を聞き、日本とマスメディアの問題点について考える。 (4) 同志社の学生と一般市民に日本の報道に対する意識調査(アンケート)を実施し、情報を受け取る側の視点からマスメディアの問題点を考え知る。 (5) 中東問題、イスラムの専門家やジャーナリストに専門家の視点から見た今回の報道の問題点を聞く。 (6) 報道する側の考えを知るために、主要新聞社、放送局など報道機関の現場の記者、デスクに話を聞く。報道される側としての在日イスラム教徒の意見、情報を受け取る側として一般市民の意見をまとめて、提示する。 (7) 調査からわかったことをもとに総括し、報道のあるべき姿についての提言をまとめる。 |
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